日本で働く外国人労働者の数は年々増加を続けており、2025年10月末時点の届出数は過去最高を更新しました。少子高齢化による労働力不足を背景に、外国人労働者は日本の経済・社会を支える不可欠な存在になりつつあります。この記事では、外国人労働者の受入れ状況を最新の統計データに基づいて解説し、国別・在留資格別・業種別の内訳、増加の背景、そして今後の見通しまで網羅的にお伝えします。
目次
外国人労働者数の推移と最新データ
日本で働く外国人労働者の数は、2025年10月末時点で約230万人に達しています。2008年の届出義務化以降、外国人労働者数は右肩上がりで増加しており、コロナ禍の一時的な停滞を経て、2023年以降は急速に回復・増加しています。
外国人労働者数の推移
| 年 | 外国人労働者数(概数) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2015年 | 約91万人 | +15.3% |
| 2017年 | 約128万人 | +18.0% |
| 2019年 | 約166万人 | +13.6% |
| 2020年 | 約172万人 | +4.0% |
| 2021年 | 約173万人 | +0.2% |
| 2022年 | 約182万人 | +5.5% |
| 2023年 | 約205万人 | +12.4% |
| 2024年 | 約220万人 | +7.3% |
| 2025年 | 約230万人(推計) | +4.5% |
2020〜2021年はコロナ禍による入国制限の影響で増加率が大幅に鈍化しましたが、2022年以降は水際対策の緩和とともに急速に回復しています。2023年には初めて200万人を突破し、その後も増加が続いています。
国籍別の構成
外国人労働者の国籍別構成を見ると、アジア諸国が圧倒的な割合を占めています。近年はベトナム人労働者の増加が顕著でしたが、ミャンマー、インドネシア、ネパールなど新たな送出国からの労働者も増えています。
国籍別の外国人労働者数(2025年概数)
| 順位 | 国籍 | 労働者数(概数) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 1 | ベトナム | 約57万人 | 約25% |
| 2 | 中国(香港・マカオを含む) | 約41万人 | 約18% |
| 3 | フィリピン | 約24万人 | 約10% |
| 4 | ネパール | 約17万人 | 約7% |
| 5 | インドネシア | 約14万人 | 約6% |
| 6 | ミャンマー | 約10万人 | 約4% |
| 7 | ブラジル | 約14万人 | 約6% |
| 8 | 韓国 | 約8万人 | 約3% |
ベトナムが最も多く、全体の約四分の一を占めています。かつては中国が最大の送出国でしたが、2020年頃にベトナムが逆転しました。ベトナムからの労働者は技能実習生や特定技能外国人が多く、製造業や建設業、農業などで活躍しています。
近年の注目すべき傾向として、ミャンマーやインドネシアからの労働者が急増しています。ミャンマーからは政治情勢の影響もあり来日する方が増えており、インドネシアからは特に介護分野や特定技能での来日が増えています。
在留資格別の構成
外国人労働者がどのような在留資格で働いているかを見ると、在留資格の多様化が進んでいることがわかります。
| 在留資格の分類 | 具体的な在留資格 | 労働者数(概数) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| 身分に基づく在留資格 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 約62万人 | 約27% |
| 専門的・技術的分野 | 技術・人文知識・国際業務、高度専門職、経営・管理など | 約60万人 | 約26% |
| 特定技能 | 特定技能1号、特定技能2号 | 約30万人 | 約13% |
| 技能実習(育成就労への移行中) | 技能実習1号、2号、3号 | 約30万人 | 約13% |
| 資格外活動 | 留学生のアルバイトなど | 約35万人 | 約15% |
| 特定活動 | ワーキングホリデー、EPA看護師・介護福祉士候補者など | 約13万人 | 約6% |
注目すべきは特定技能の急速な拡大です。2019年に創設された特定技能制度の利用者は年々増加しており、2025年には約30万人に達しています。一方、技能実習制度は育成就労制度への移行が進んでおり、今後は構成比が変化していく見込みです。
産業別・業種別の受入れ状況
外国人労働者がどのような産業で働いているかを見ると、製造業が最も多く、次いでサービス業、卸売業・小売業が続きます。
産業別の外国人労働者数
| 産業 | 労働者数(概数) | 構成比 | 主な在留資格 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 約55万人 | 約24% | 技能実習、特定技能、身分系 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 約37万人 | 約16% | 技人国、身分系、特定活動 |
| 卸売業・小売業 | 約30万人 | 約13% | 身分系、資格外活動 |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 約27万人 | 約12% | 資格外活動、特定技能、身分系 |
| 建設業 | 約15万人 | 約7% | 技能実習、特定技能 |
| 医療・福祉 | 約10万人 | 約4% | 特定技能、EPA、介護 |
| 情報通信業 | 約9万人 | 約4% | 技人国、高度専門職 |
| 農業・林業 | 約6万人 | 約3% | 技能実習、特定技能 |
製造業は外国人労働者の最大の受入れ先であり、食料品製造、輸送用機械器具製造、電子部品製造などの分野で多くの外国人が従事しています。
都道府県別の受入れ状況
外国人労働者は大都市圏に集中する傾向がありますが、地方でも人手不足を背景に受入れが進んでいます。
外国人労働者数の多い都道府県
| 順位 | 都道府県 | 労働者数(概数) |
|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 約55万人 |
| 2 | 愛知県 | 約21万人 |
| 3 | 大阪府 | 約16万人 |
| 4 | 神奈川県 | 約13万人 |
| 5 | 埼玉県 | 約11万人 |
東京都が突出して多いのは、ITや翻訳などの専門的・技術的分野や、飲食・サービス業でのアルバイトが集中しているためです。愛知県は自動車関連の製造業が集積しており、ブラジル人を中心とした身分系在留資格の労働者が多い特徴があります。
外国人労働者が増加している背景
外国人労働者が増加している背景には、日本側の要因と送出国側の要因の両方があります。
日本側の要因
- 少子高齢化による生産年齢人口の減少:日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少し続けており、労働力不足が構造的な問題となっている
- 特定技能制度の創設と拡大:2019年に創設された特定技能制度により、これまで受入れが困難だった分野でも外国人労働者の受入れが可能になった。対象分野も順次拡大されている
- 技能実習制度から育成就労制度への移行:技能実習制度の見直しにより、より実態に即した外国人労働者の受入れ制度が整備されつつある
- 高度外国人材の獲得競争:IT人材をはじめとする高度人材の獲得に向けて、在留資格や待遇面での優遇策が講じられている
送出国側の要因
- 経済的なインセンティブ:日本での賃金は多くの送出国の水準を上回っており、家族への送金を目的に来日する労働者が多い
- 日本語教育の普及:ベトナムやフィリピンなどでは日本語教育が盛んに行われており、来日前にある程度の日本語能力を習得した人材が増えている
- 送出機関のネットワーク:送出国の政府や民間の送出機関が日本への労働者派遣を組織的に行っている
- SNSによる情報拡散:日本で働く外国人がSNSで生活や仕事の情報を発信し、来日を希望する人が増えている
今後の見通しと企業への影響
外国人労働者の受入れをめぐる今後の動向を展望します。
受入れ拡大の方向性
政府は外国人労働者の受入れを今後も拡大していく方針を示しています。主な施策は以下のとおりです。
- 特定技能の対象分野の拡大:2024年に対象分野が拡大され、今後もさらなる拡大が検討されている
- 育成就労制度の本格運用:技能実習制度に代わる育成就労制度が本格的に運用開始され、転籍(転職)の柔軟化が図られる
- 高度人材ポイント制の拡充:高度専門職の在留資格のポイント基準の見直しや、優遇措置の拡充が進められている
- デジタルノマドビザの新設:リモートワークを行う外国人を受け入れるための新たな在留資格が整備されつつある
企業に求められる対応
外国人労働者の増加に伴い、企業には以下の対応が求められます。
- 外国人材の採用戦略の策定:どの在留資格で、どの国から、どのような人材を採用するかを戦略的に検討する
- 受入れ体制の整備:多言語対応、生活支援、日本語教育など、外国人が活躍できる環境を整える
- 法令遵守の徹底:入管法や労働法の改正に対応し、適正な雇用管理を行う
- 定着率の向上:キャリアパスの提示、公正な評価制度、良好な職場環境の整備により、外国人労働者の定着を図る
- 国際的な人材獲得競争への対応:韓国、台湾、ドイツなど他国との人材獲得競争が激化しており、日本が選ばれるための魅力づくりが必要
(外国人労働者の受入れは、一時的なブームではなく、日本の労働市場における構造的な変化です。企業として中長期的な視点で外国人材の活用を検討されることをおすすめします。在留資格の選定や手続きについてお悩みの方は、当事務所「在留資格センター」にお気軽にご相談ください)
