在留資格のオンライン申請(在留申請オンラインシステム)を使えば、入管の窓口に出向くことなく、在留資格の申請手続きをインターネット上で完結できます。2022年3月のシステム開始以降、対象手続きや利用可能者の範囲は段階的に拡大されてきました。実務上、企業の人事担当者や行政書士にとっては業務効率が大きく改善される仕組みですし、外国人本人が個人で利用できる範囲も広がっています。この記事では、オンライン申請の対象手続き・利用条件・具体的な操作手順・窓口申請との違いを、申請の現場で日常的にシステムを使っている行政書士の視点から整理します。
目次
オンライン申請の対象手続きはCOE・変更・更新・再入国許可の4種類
在留申請オンラインシステムで対応している手続きは、以下の4種類です。
| 手続き | 概要 | オンライン対応状況 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(COE) | 海外から外国人を招へいする際の事前申請 | 対応済み |
| 在留資格変更許可申請 | 現在の在留資格を別の在留資格に変更 | 対応済み |
| 在留期間更新許可申請 | 在留期間の延長 | 対応済み |
| 再入国許可申請 | 日本を一時出国し再び入国するための許可 | 対応済み |
実務上もっとも利用頻度が高いのは在留期間更新と在留資格変更の2つです。私が対応してきたケースでは、企業から依頼を受ける更新申請の約8割はオンラインで処理しています。窓口に行く往復の時間がなくなるだけで、1件あたり2〜3時間の工数削減になります。
なお、永住許可申請や資格外活動許可申請などはオンライン申請の対象外です。今後の拡大が予定されていますが、現時点では窓口申請のみとなります。
2024年以降、個人での利用範囲も段階的に拡大している
在留申請オンラインシステムは当初、所属機関の職員や弁護士・行政書士といった申請取次者に限定されていました。しかし、2024年以降は外国人本人による在留期間更新のオンライン申請が可能になるなど、個人利用の範囲が徐々に広がっています。
在留資格更新をオンラインで個人申請する場合、マイナンバーカードと対応するICカードリーダー(またはNFC対応スマートフォン)が必要になります。申請の現場では、マイナンバーカードを取得していない外国人がまだ多く、個人利用のハードルは実質的にこの点にあると感じています。マイナンバーカードの申請から受取までには1〜2か月かかるため、オンライン申請を利用したい方は早めに準備を進めておくのが賢明です。
オンライン申請を利用できるのは所属機関の職員・行政書士・本人の3パターン
在留申請オンラインシステムの利用者は、大きく分けて3つのカテゴリに分類されます。
| 利用者区分 | 具体例 | 申請可能な手続き |
|---|---|---|
| 所属機関の職員 | 企業の人事担当者、大学の留学生課職員 | COE・変更・更新・再入国許可 |
| 弁護士・行政書士 | 申請取次の届出をしている士業 | COE・変更・更新・再入国許可 |
| 外国人本人 | 在留カードとマイナンバーカードを持つ本人 | 更新・変更(一部制限あり) |
企業の人事担当者が最も多く利用しているのが実情です。特に外国人従業員が10名を超える企業では、4月や10月に更新時期が集中しやすく、窓口で何時間も待つ必要がなくなるだけで業務負担が大幅に軽減されます。
利用者ごとの申請可能範囲が異なる
所属機関の職員と行政書士はほぼ同じ範囲の手続きをオンラインで行えますが、外国人本人による申請は対象となる在留資格や手続きに一部制限があります。たとえば、在留資格認定証明書交付申請(COE)は海外にいる本人に代わって国内の関係者が行う手続きのため、本人によるオンライン申請の対象外です。
私が対応してきたケースでは、企業の人事担当者が自社でオンライン申請を始めたものの、書類作成の負担が想像以上に大きく、途中から行政書士に委任するパターンもよく見られます。オンライン申請自体は便利ですが、申請書類の内容や添付資料の質は窓口申請と変わらず重要です。
オンライン申請の利用開始には事前の利用申出が必要
在留申請オンラインシステムを使い始めるには、事前に「利用申出」を行い、認証IDを取得する必要があります。いきなりアクセスして申請できるわけではありません。
所属機関の職員の場合、利用申出は入管の窓口またはオンライン上で行います。申出に必要な書類は、所属機関に関する資料(登記事項証明書、会社案内など)と、利用者本人の身分証明書です。行政書士の場合は、申請取次の届出済証明書の写しが追加で必要になります。
利用申出から利用開始までの流れ
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 利用申出の提出 | 必要書類を準備し、オンラインまたは窓口で申出 | 即日 |
| 入管による審査 | 所属機関の適格性確認など | 1〜2週間 |
| 認証ID・パスワードの発行 | メールで通知される | 審査完了後すぐ |
| システムへのログイン・利用開始 | 発行されたIDでログインし申請を開始 | 即日 |
実務上の注意点として、利用申出の審査には1〜2週間かかるため、急ぎの申請がある場合は早めに申出を済ませておく必要があります。私の経験では、企業からの申出は比較的スムーズに通りますが、設立間もない法人や過去に入管法違反歴がある機関の場合は審査が長引く傾向があります。
申請手続きの具体的な操作手順
認証IDを取得したら、在留申請オンラインシステムにログインして申請を行います。基本的な操作の流れは以下の通りです。
- 在留申請オンラインシステムにアクセスし、認証IDとパスワードでログイン
- 申請種別(認定・変更・更新・再入国許可)を選択
- 申請書の各項目を画面上で入力
- 添付書類をPDFでアップロード
- 入力内容を確認し、送信ボタンで申請を完了
画面の指示に沿って入力していけば操作自体は難しくありませんが、入力項目は窓口で提出する申請書と基本的に同じです。入力ミスや添付漏れがあると審査期間が延びる原因になるので、送信前の確認は入念に行ってください。
添付書類はPDF形式で準備する必要がある
オンライン申請では、添付書類をすべてPDF形式でアップロードします。1ファイルあたりのサイズ上限は10MBで、合計で50MBまでアップロード可能です。
紙の書類しかない場合はスキャンしてPDF化する必要があります。スマートフォンのスキャンアプリでも対応可能ですが、文字が読み取れる解像度(300dpi程度)を確保してください。画質が悪いと入管から再提出を求められることがあります。
申請の現場では、卒業証明書や成績証明書の原本をスキャンする際に、影が入って文字が読みにくくなっているケースをよく見かけます。フラットベッドスキャナーがない場合でも、明るい場所で撮影し、スキャンアプリの自動補正機能を使えば十分な品質を確保できます。
審査状況はシステム上でリアルタイム確認が可能
オンライン申請の大きなメリットのひとつが、審査の進捗状況をシステム上で確認できる点です。窓口申請の場合は入管に電話で問い合わせるしかありませんが、オンラインならログインするだけで現在のステータスが分かります。
ステータスは「受付済み」「審査中」「審査完了」などの表示で確認できます。ただし、実務上は「審査中」の状態が長く続くことも多く、ステータスだけで審査の進み具合を正確に把握するのは難しい面もあります。追加資料の要求がある場合はシステム上で通知されるため、定期的にログインして通知を確認する習慣をつけておくことが重要です。
オンライン申請と窓口申請の比較で実務上のメリット・デメリットが明確になる
| 比較項目 | オンライン申請 | 窓口申請 |
|---|---|---|
| 移動時間 | 不要 | 入管への往復が必要(片道1〜2時間の地域も多い) |
| 待ち時間 | 不要 | 繁忙期は2〜3時間待ちも |
| 受付時間 | 24時間365日(メンテナンス時間を除く) | 平日9時〜16時のみ |
| 書類の形式 | PDFアップロード | 紙の原本を持参 |
| 審査状況の確認 | システム上で随時確認可能 | 電話問い合わせが必要 |
| 許可時の対応 | 在留カード受取のため入管へ出向く必要あり(郵送受取も可) | 窓口でそのまま受取 |
| システムトラブルのリスク | あり(メンテナンス・通信障害など) | なし |
実務上、オンライン申請の最大のメリットは時間の節約です。東京入管の場合、窓口での待ち時間が2時間を超えることも珍しくありません。複数件の申請を同日に行う企業の人事担当者や行政書士にとっては、この時間的メリットは非常に大きいものです。
一方、デメリットとしては、許可が出た後の在留カード受取のために結局入管へ行く必要がある点が挙げられます(郵送での受取も選択可能ですが、届くまで数日かかります)。また、窓口申請であれば審査官にその場で質問できるメリットがありますが、オンラインではそれができません。申請内容に自信がない場合は、行政書士への依頼を検討するのが現実的です。
オンライン申請でよくあるトラブルと対処法
私が日常的にオンラインシステムを使う中で、繰り返し発生するトラブルをまとめます。
| トラブル内容 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| ログインできない | パスワードの有効期限切れ、入力ミス | パスワード再設定を行う。90日ごとに変更が必要 |
| PDFがアップロードできない | ファイルサイズ超過、PDFのバージョン非対応 | ファイルを圧縮するか、PDF/A形式で再保存する |
| 申請送信時にエラーが出る | 必須項目の未入力、セッションタイムアウト | 全項目を再確認し、長時間離席せず操作を完了する |
| 写真のアップロードがうまくいかない | 写真の規格(縦4cm×横3cm、背景白)を満たしていない | 入管の規格に合った写真データを用意し直す |
| 追加資料の通知に気づかない | システムの通知を見落とし | 週に1回以上はログインしてステータスを確認する |
セッションタイムアウトによるデータ消失は特に注意が必要です。入力途中で30分以上離席すると、それまでの入力内容がすべて消えてしまいます。長い申請書を作成する際は、こまめに「一時保存」機能を使ってください。
また、システムのメンテナンスは毎週土曜日の深夜から日曜日の早朝にかけて行われることが多いです。在留期限ギリギリの申請をオンラインで行う場合は、メンテナンス日程を事前に確認しておくことをお勧めします。在留期限当日にシステムが使えないという事態は避けなければなりません。
最後に
在留資格のオンライン申請は、窓口に足を運ぶ手間を省き、申請業務の効率を大幅に改善できる仕組みです。対象手続きはCOE・変更・更新・再入国許可の4種類で、所属機関の職員・行政書士・外国人本人が利用できます。特に複数の外国人従業員を抱える企業の人事担当者や、多数の案件を並行処理する行政書士にとっては、もはや欠かせないツールとなっています。
ただし、オンラインで手続きが簡単になっても、審査基準そのものは窓口申請と同じです。書類の内容や添付資料の質が不十分であれば、不許可になるリスクは変わりません。
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