特定活動ビザは、入管法に定められた在留資格の中でも最も多様な活動をカバーする在留資格です。ワーキングホリデー、インターンシップ、就職活動、特定の就労活動など、他の在留資格に分類しきれない活動が「特定活動」として整理されています。しかし、その範囲の広さゆえに「自分の活動が特定活動ビザに該当するのか」が判断しにくい面があります。この記事では、特定活動ビザの全体像、主な種類と該当活動、申請方法まで、体系的にわかりやすく解説します。
目次
特定活動ビザは法務大臣が個々に指定する活動を行うための在留資格
特定活動ビザ(在留資格「特定活動」)は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動を行うための在留資格です。入管法別表第一の五に「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と規定されており、他の在留資格に該当しない多様な活動をカバーする「受け皿」的な在留資格と言えます。
特定活動ビザの特徴は以下のとおりです。
- 法務大臣が「指定書」によって個々の外国人に許可する活動内容を指定する
- 指定された活動以外の活動は原則として認められない
- 活動の種類によって就労の可否や在留期間が異なる
- 告示で類型化されたものと、告示外で個別に認められるものがある
特定活動ビザを取得した外国人には「指定書」がパスポートに貼付されます。この指定書に記載された活動のみが日本で行える活動です。指定書の内容を超えた活動を行うと入管法違反になるため、指定書の記載内容は正確に把握しておく必要があります。
特定活動ビザの種類は「告示特定活動」と「告示外特定活動」に分かれる
特定活動ビザは大きく分けて、「告示特定活動」と「告示外特定活動」の二つに分類されます。
| 分類 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 告示特定活動 | 法務省告示で類型化された活動 | 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づく告示 |
| 告示外特定活動 | 告示に該当しないが、個別の判断で認められる活動 | 法務大臣の裁量による個別指定 |
告示特定活動は、法務省の告示によってあらかじめ類型化されている活動です。告示に該当する活動であれば、在留資格認定証明書(COE)の交付申請が可能です。2026年現在、告示で定められた特定活動は50種類以上あり、番号(号)で管理されています。
告示外特定活動は、告示には定められていないものの、法務大臣の裁量により個別に認められる活動です。告示外特定活動の場合は、原則としてCOEの交付申請はできず、在留資格変更許可申請または在留期間更新許可申請によって認められます。
告示特定活動の主な種類一覧
告示特定活動のうち、実務上よく取り扱われるものを以下にまとめます。
| 告示番号 | 活動内容 | 就労の可否 | 在留期間 |
|---|---|---|---|
| 5号 | ワーキングホリデー | 就労可(制限なし) | 六か月または一年 |
| 6号 | アマチュアスポーツ選手 | 報酬を受ける活動は不可 | 一年または三年 |
| 9号 | インターンシップ | インターンシップの範囲で可 | 一年以内 |
| 12号 | サマージョブ(外国の大学生の短期就労体験) | 就労可 | 三か月以内 |
| 25号 | 医療滞在 | 就労不可 | 六か月または一年 |
| 33号 | 高度専門職の外国人の親の帯同 | 就労不可 | 高度専門職の在留期間に準ずる |
| 34号 | 高度専門職の外国人の家事使用人 | 家事使用人としての就労のみ | 高度専門職の在留期間に準ずる |
| 46号 | 日本の大学を卒業した留学生の就労 | 就労可(幅広い業務) | 一年または三年または五年 |
| 50号 | 国家戦略特区における家事支援活動 | 家事支援活動のみ | 一年 |
上記はごく一部であり、特定活動の告示番号は順次追加されています。自分の活動がどの告示番号に該当するかは、活動内容を正確に把握した上で慎重に判断する必要があります。
ワーキングホリデー(告示5号)
ワーキングホリデーは、日本と協定を結んでいる国・地域の若者が、観光を主目的としながらアルバイトで旅費を補うことができる制度です。2026年現在、日本はオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリス、台湾、香港など30以上の国・地域と協定を結んでいます。
ワーキングホリデーの特定活動ビザでは就労時間の制限がなく、フルタイムで働くことも可能です。ただし、在留期間は原則として一年であり、更新は認められません。
特定活動46号(日本の大学卒業者の就労)
特定活動46号は、日本の大学(大学院を含む)を卒業し、高い日本語能力を持つ外国人が、幅広い業務に従事できる在留資格です。「技術・人文知識・国際業務」では認められない接客業やサービス業などの現場業務にも従事でき、日本語を活用した業務であれば職種の制限が大幅に緩和されます。詳細は別記事で解説しています。
告示外特定活動の主な種類
告示外特定活動は法務省の告示に明記されていないものの、法務大臣の裁量により個別に認められる特定活動です。主な類型は以下のとおりです。
卒業後の就職活動(継続就職活動)
日本の大学や専門学校を卒業した留学生が、卒業後も引き続き日本で就職活動を行うための在留資格です。留学ビザの在留期間が満了した後、就職先が決まっていない場合に、特定活動ビザへの変更が認められます。在留期間は六か月で、一回の更新が可能なため、最長一年間の就職活動期間が確保されます。
出国準備のための特定活動
在留資格の変更や更新が不許可になった場合に、出国準備のために一定期間の在留が認められるケースがあります。在留期間は通常三十日または三十一日で、この期間中に帰国の準備を行います。就労は原則として認められません。
老親扶養のための特定活動
日本に在留する外国人の親が高齢で、本国に身寄りがなく、日本にいる子の扶養を受けなければ生活が成り立たないような場合に、人道的な配慮から特定活動ビザが認められることがあります。ただし、許可のハードルは非常に高く、個々の事情に応じた慎重な審査が行われます。
難民申請中の特定活動
難民認定申請を行っている外国人に対して、審査期間中の在留を認めるために特定活動ビザが付与されるケースがあります。就労の可否は個別の判断によりますが、指定書に「就労不可」と記載されている場合はアルバイトも含めて就労ができません。
離婚後の在留を認める特定活動
日本人や永住者の配偶者として在留していた外国人が離婚した場合、配偶者としての在留資格の基礎を失いますが、すぐに帰国することが困難な事情がある場合には、特定活動ビザへの変更が認められることがあります。日本人の子を養育している場合や、日本での在留期間が長い場合などに認められるケースが多く、その後「定住者」ビザへの変更につなげるのが一般的です。
EPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士候補者
フィリピン、インドネシア、ベトナムとの経済連携協定(EPA)に基づき来日する看護師候補者・介護福祉士候補者も特定活動ビザで在留します。日本の医療機関や介護施設で就労しながら国家資格の取得を目指す制度で、在留期間中に国家試験に合格すれば「医療」や「介護」の在留資格に変更できます。
特定活動ビザと他の在留資格の違い
特定活動ビザは他の在留資格と比較して、いくつかの特徴的な違いがあります。
| 比較項目 | 特定活動ビザ | 就労系在留資格(技人国等) | 身分系在留資格(永住者等) |
|---|---|---|---|
| 活動の範囲 | 指定書に記載された活動のみ | 在留資格で定められた業務範囲 | 制限なし |
| 就労の可否 | 種類による(就労可〜就労不可まで多様) | 就労可(業種制限あり) | 就労可(制限なし) |
| 転職の自由度 | 種類による(指定書の範囲内に限定) | 同じ業務範囲内であれば可能 | 自由 |
| 家族帯同 | 種類による | 家族滞在ビザで帯同可能 | 家族も身分系在留資格で帯同可能 |
| 永住申請 | 種類による(在留期間のカウントは可能な場合あり) | 可能(十年以上の在留等の要件あり) | 永住者はすでに永住 |
特定活動ビザは就労系在留資格と身分系在留資格の「どちらにも分類しにくい活動」をカバーする性質があるため、一つの在留資格の中に性質の異なる多様な活動が含まれていることが最大の特徴です。そのため、「特定活動ビザ」という名称だけでは、その外国人がどのような活動をしているのかは判断できません。
特定活動ビザの申請方法と必要書類
特定活動ビザの申請方法は、活動の種類によって異なりますが、基本的な流れは以下のとおりです。
海外からの呼び寄せ(COE申請)
告示特定活動に該当する場合は、在留資格認定証明書(COE)の交付申請が可能です。日本側の受入機関(雇用主、大学など)が代理人として入管に申請します。
在留資格の変更
すでに日本に在留している外国人が特定活動ビザに変更する場合は、在留資格変更許可申請を行います。告示外特定活動の場合は、この変更申請によってのみ特定活動ビザを取得できます。
共通の必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(または在留資格変更許可申請書)
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポートおよび在留カード(変更申請の場合)
- 活動内容を証明する書類(雇用契約書、受入計画書など)
- 受入機関の概要を示す書類(会社登記簿謄本、決算書など)
- 申請者の経歴を示す書類(履歴書、卒業証明書など)
活動の種類によって必要書類は大きく異なるため、告示番号ごとに入管のウェブサイトで確認することが必要です。
特定活動ビザの注意点と実務上のアドバイス
指定された活動以外の活動は原則不可
特定活動ビザで最も注意すべき点は、指定書に記載された活動以外の活動は原則として認められないことです。たとえば、ワーキングホリデーの特定活動ビザで来日した方が、ワーキングホリデー終了後もそのまま日本で働き続けることはできません。別の在留資格への変更が必要です。
在留期間は活動の種類によって異なる
特定活動ビザの在留期間は、活動の種類によって三か月から五年まで幅があります。在留期間の更新が認められるかどうかも活動の種類によって異なるため、自分の特定活動ビザの条件をしっかり確認してください。
他の在留資格への変更を見据えた計画が重要
特定活動ビザは、あくまで特定の活動のために一時的に付与される在留資格であることが多く、将来的には就労ビザや永住権など、より安定した在留資格への切り替えを計画しておくことが重要です。特に就職活動のための特定活動ビザは在留期間が限られているため、計画的に活動を進める必要があります。
最後に
特定活動ビザの該当性の判断や申請手続きについてお困りの場合は、在留資格センターまでお気軽にご相談ください。どの告示番号に該当するかの判断から、申請書類の作成まで一貫してサポートいたします。


