特定活動ビザは種類が多く、就労の可否や制限も種類によってまったく異なります。「特定活動ビザで働けるのか」という問いに対する答えは、「指定書に書かれた活動内容による」としか言えません。就労が自由にできるものもあれば、一切の就労が禁止されているものもあります。この記事では、特定活動ビザの種類ごとの就労制限を整理し、就労範囲を広げたい場合の在留資格の切り替え方法、特に特定技能への切替手続きについて詳しく解説します。
目次
特定活動ビザの就労可否は指定書の記載内容で決まる
特定活動ビザで就労が認められるかどうかは、パスポートに貼付された「指定書」の記載内容によって決まります。特定活動ビザは一律に就労の可否が定められているわけではなく、指定される活動の種類ごとに異なります。
指定書には、その外国人が日本で行うことができる活動の内容が具体的に記載されています。指定書に「報酬を受ける活動を除く」と記載されていれば就労は不可、就労を前提とした活動が記載されていれば就労が可能です。
| 特定活動の種類 | 就労の可否 | 就労の範囲・制限 |
|---|---|---|
| ワーキングホリデー(告示5号) | 就労可 | 制限なし(風俗営業を除く) |
| 特定活動46号(日本の大学卒業者の就労) | 就労可 | 日本語を用いるコミュニケーションを必要とする業務 |
| インターンシップ(告示9号) | 就労可 | インターンシップの活動範囲内 |
| 医療滞在(告示25号) | 就労不可 | 医療を受ける活動のみ |
| 高度専門職の親帯同(告示33号) | 就労不可 | 日常生活のみ |
| 継続就職活動 | 原則不可 | 資格外活動許可で週28時間以内のアルバイトが可能な場合あり |
| 出国準備 | 就労不可 | 出国準備のみ |
| 難民申請中 | 個別判断 | 指定書の記載による |
(よくある誤解として、「特定活動ビザを持っていれば何でもできる」と思い込んでいる方がいますが、これは誤りです。特定活動ビザは指定書に記載された活動しか行えず、それ以外の活動は原則として入管法違反になります)
就労が認められない特定活動ビザでアルバイトをする方法
就労が認められていない特定活動ビザであっても、資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトが認められる場合があります。ただし、すべての特定活動ビザで資格外活動許可が認められるわけではなく、活動の種類によっては許可されません。
資格外活動許可が認められやすい特定活動
- 継続就職活動は卒業後の就職活動中に生活費を得るためのアルバイトが認められることが多い
- 難民申請中の特定活動は個別の判断によるが、生活の必要性から認められるケースがある
資格外活動許可が原則認められない特定活動
- 出国準備のための特定活動は在留目的が出国準備であり、就労の必要性が認められない
- 医療滞在は医療を受けることが目的であり、就労は活動の趣旨に反する
資格外活動許可を受けた場合でも、アルバイトは週28時間以内に限られ、風俗営業での就労は禁止されています。家族滞在ビザと同様のルールが適用されます。
特定活動ビザから就労系在留資格への変更方法
特定活動ビザでの就労範囲に限界を感じている場合や、より安定した在留資格を取得したい場合は、就労系の在留資格への変更を検討してください。主な変更先は以下のとおりです。
| 変更先の在留資格 | 主な要件 | メリット |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 大学卒業または実務経験、専門的業務への従事 | 幅広い専門業務に従事可能 |
| 特定技能1号 | 特定技能評価試験・日本語試験の合格 | 人手不足分野での安定就労 |
| 特定技能2号 | 特定技能2号評価試験の合格 | 家族帯同・永住申請への道が開ける |
| 経営・管理 | 事業所の確保、500万円以上の出資等 | 自ら事業を営むことが可能 |
特定活動ビザから特定技能への切替方法
特定活動ビザから特定技能への切替は、特に技能実習修了後の特定活動ビザ保持者や、就職活動中の留学生が検討するケースが多い切替パターンです。
特定技能1号への切替要件
特定技能1号に切り替えるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 特定技能評価試験に合格していること(技能試験と日本語試験の両方)
- 受入機関(雇用主)が決まっていること
- 雇用契約が日本人と同等以上の条件であること
- 受入機関が特定技能に係る届出・支援計画の基準を満たしていること
- 対象分野の産業に該当する業務であること
日本語試験については、日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格していることが求められます。技能実習2号を良好に修了した方は、技能試験と日本語試験の両方が免除されます。
切替の手続きの流れ
- 特定技能評価試験(技能試験・日本語試験)に合格する
- 受入機関と雇用契約を締結する
- 受入機関が支援計画を策定する(登録支援機関に委託することも可能)
- 在留資格変更許可申請を入管に提出する
- 審査を経て許可されれば、在留カードが「特定技能1号」に変更される
在留資格変更許可申請の審査期間は一か月から三か月程度です。審査期間中は現在の在留資格のまま日本に滞在できますが、現在の在留資格の期間が満了する前に変更申請を行う必要があります。
切替に必要な主な書類
- 在留資格変更許可申請書
- 特定技能評価試験の合格証明書
- 日本語試験の合格証明書(免除対象者は免除を証明する書類)
- 雇用契約書の写し
- 雇用条件書
- 受入機関の概要書、登記簿謄本、決算書
- 支援計画書
- 納税証明書(本人および受入機関)
- パスポートおよび在留カード
特定技能2号への切替も視野に入れる
特定技能1号の在留期間は通算で五年が上限ですが、特定技能2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も可能になります。特定技能2号は1号と比べて高度な技能が求められますが、長期的なキャリア形成を考える上で重要な選択肢です。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間の上限 | 通算五年 | 上限なし(更新可能) |
| 家族の帯同 | 不可 | 可(配偶者・子) |
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 永住申請 | 在留期間が通算五年のため難しい | 在留期間の上限がないため永住申請が可能 |
| 対象分野 | 全16分野 | 全16分野(2023年以降順次拡大) |
特定活動ビザから直接特定技能2号への切替はできません。まず特定技能1号を取得し、1号での就労経験を積んだ上で2号の評価試験に合格することが必要です。
特定活動ビザから「技術・人文知識・国際業務」への切替
特定活動ビザから技人国ビザ(「技術・人文知識・国際業務」)への切替も、実務上多く見られるパターンです。
切替の要件
技人国ビザへの切替には、学歴または実務経験の要件と、従事する業務内容の要件の両方を満たす必要があります。
- 学歴要件は大学(短期大学を含む)を卒業していること、または専門学校を卒業し「専門士」の称号を取得していること
- 実務経験要件は学歴要件を満たさない場合は、従事しようとする業務に関連する十年以上の実務経験(国際業務の場合は三年以上)
- 業務内容要件は従事する業務が「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれかに該当すること
- 報酬要件は日本人と同等以上の報酬が支払われること
(ワーキングホリデーや就職活動の特定活動ビザから技人国ビザへの切替は特に多いパターンです。ワーキングホリデー中に日本企業で働き、その企業にそのまま正社員として採用されるケースでは、在留資格を技人国ビザに変更する必要があります。ワーキングホリデーの在留期間が満了する前に変更申請を行ってください)
特定活動ビザの就労に関する注意点
指定された活動以外の就労は入管法違反
特定活動ビザで認められた活動の範囲を超えて就労した場合は、資格外活動として入管法違反に該当します。不法就労として退去強制の対象になるだけでなく、刑事罰の対象にもなります。雇用主側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
具体的には、入管法第73条の2に基づき、不法就労を行った外国人には三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、またはその併科が科される可能性があります。また、不法就労をさせた事業主にも同様の罰則が適用されます。
転職する場合は在留資格の変更が必要なことが多い
特定活動ビザの中でも就労が認められている種類(46号など)で転職する場合、転職先の業務内容が指定書に記載された活動の範囲内であるかを確認する必要があります。業務内容が大きく変わる場合は、在留資格の変更申請が必要になることもあります。
また、転職の際には以下の手続きを忘れないようにしてください。
- 「契約機関に関する届出」を入管に提出する(転職から十四日以内)
- 転職先の業務内容が指定書の範囲内であるか確認する
- 次回の在留期間更新時に転職先の雇用契約書等を提出する
在留期間の管理を徹底する
特定活動ビザは種類によって在留期間が大きく異なり、更新の可否も種類ごとに決まっています。ワーキングホリデーのように更新が認められない特定活動もあるため、在留期間の満了日を必ず確認し、計画的に次のステップ(帰国、在留資格の変更など)を検討してください。
在留期間の管理に関する主な注意点を整理します。
| 特定活動の種類 | 更新の可否 | 在留期間の目安 |
|---|---|---|
| ワーキングホリデー | 更新不可 | 一年(延長なし) |
| 継続就職活動 | 一回更新可能 | 六か月×2=最長一年 |
| 特定活動46号 | 更新可能 | 一年、三年、五年 |
| 出国準備 | 原則不可 | 三十日または三十一日 |
| インターンシップ | 原則不可 | 一年以内 |
(特定活動ビザから他の在留資格への切替は、手続きが複雑で必要書類も多い申請です。特に特定技能への切替では、受入機関側の要件確認や支援計画の策定に時間がかかるため、在留期間に余裕があるうちに準備を始めることをお勧めします。在留期間が満了してしまうと、在留資格の変更申請ができなくなり、一度帰国してからCOE申請をやり直す必要が生じます)
特定活動ビザの就労に関するよくある質問
特定活動ビザで副業はできるか
特定活動ビザで副業ができるかは、指定書の記載内容によります。指定書に記載された活動以外の就労は原則として認められないため、副業が指定書の範囲外であれば資格外活動許可を取得する必要があります。ただし、就労系の特定活動ビザで資格外活動許可が認められるかどうかは個別の判断になるため、事前に入管に確認してください。
特定活動ビザの就労制限に違反した場合、永住申請に影響するか
就労制限に違反した事実は、将来の永住申請において「素行の善良性」の審査で不利に働く可能性が高いです。過去の入管法違反の有無は永住審査で確認されるため、たとえ刑事処分を受けていなくても、在留資格の更新が不許可になった経歴があれば永住申請に悪影響を及ぼします。
最後に
特定活動ビザの就労制限や在留資格の切替について、ご不明な点がございましたら在留資格センターまでお気軽にご相談ください。指定書の内容確認から、最適な在留資格への切替サポートまで対応いたします。


