就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理など)を持つ外国人が、本業とは別にアルバイトや副業をしたいというご相談は年々増えています。結論から言えば、就労ビザのままでは原則として本業以外の就労はできません。ただし、「資格外活動許可」を取得すれば、一定の条件のもとで副業やアルバイトが認められる場合があります。実務上は、この制度を正しく理解せずに副業を始めてしまい、在留資格の更新で問題になるケースが少なくありません。
目次
就労ビザでのアルバイト・副業は「資格外活動許可」を取れば条件付きで可能
就労ビザは、特定の業務内容に従事することを前提に許可された在留資格です。たとえば「技術・人文知識・国際業務」のビザを持つ方は、その在留資格に該当する業務にしか従事できないのが原則です。本業の会社とは別の場所でアルバイトや副業を行う場合、その活動が在留資格の範囲外であれば「資格外活動」に該当します(入管法第19条第2項)。
この資格外活動を合法的に行うためには、出入国在留管理庁(入管)から「資格外活動許可」を取得する必要があります。許可を得ずに副業やアルバイトをした場合、不法就労に該当し、在留資格の取消しや退去強制といった重大な結果を招く可能性があります(出典 出入国在留管理庁「資格外活動許可」)。
なお、留学ビザや家族滞在ビザの方が取得する資格外活動許可と、就労ビザの方が取得する資格外活動許可は制度としては同じですが、審査のポイントや許可される範囲が異なります。留学生の場合は「週28時間以内の包括許可」が一般的ですが、就労ビザの方の場合は副業の内容を個別に審査されるケースが多く、実務上のハードルはやや高めです。
資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」の二種類がある
資格外活動許可は、大きく「包括許可」と「個別許可」の2種類に分かれます。就労ビザを持つ方が副業やアルバイトをする場合、どちらの許可が必要かは活動内容によって異なります。
| 区分 | 包括許可 | 個別許可 |
|---|---|---|
| 対象者 | 主に留学・家族滞在の方 | 就労ビザ保有者を含む全在留資格 |
| 活動内容の指定 | 業種を限定しない(風俗営業を除く) | 特定の勤務先・活動内容を指定 |
| 就労時間の上限 | 週28時間以内 | 許可内容による(本業に支障がない範囲) |
| 審査期間の目安 | 即日から2週間程度 | 2週間から2か月程度 |
| 就労ビザ保有者の利用 | 原則として対象外 | こちらが該当する |
実務上は、就労ビザを持つ方が副業をする場合、ほぼ確実に「個別許可」の対象となります。包括許可は留学生や家族滞在の方を想定した制度であり、就労ビザの方には基本的に適用されません。個別許可では、副業先の会社名、業務内容、勤務時間、報酬額などを具体的に申告し、入管の審査を受ける必要があります(ここが留学生のアルバイト許可とは大きく異なるポイントです)。
副業・アルバイトが許可されるケースと許可されないケース
就労ビザでの資格外活動許可は、申請すれば必ず下りるものではありません。許可の可否は副業の内容と本業との関係性によって判断されます。
本業の在留資格に関連する業務であれば許可されやすい
資格外活動許可の審査では、副業の業務内容が本業の在留資格に関連しているかどうかが重要な判断基準になります。たとえば「技術・人文知識・国際業務」のビザでITエンジニアとして勤務している方が、別の企業でシステム開発の副業をするケースは許可されやすい傾向にあります。
許可されやすいケースの例を挙げます。
- 本業と同じ分野での副業(翻訳者が別の会社で翻訳業務を請け負う等)
- 専門知識を活かしたコンサルティングやセミナー講師
- 在留資格の活動範囲内での業務委託やフリーランス案件
一方、許可されにくい、あるいは許可されないケースもあります。
- 本業の在留資格とまったく関係のない単純労働(コンビニのレジ打ち、倉庫作業など)
- 本業の勤務時間を圧迫するほどの長時間の副業
- 本業の雇用主が副業を禁止している場合(入管は雇用契約上の制約も考慮します)
実務上は、副業が「単純労働」に該当する場合、就労ビザの方に対する資格外活動許可はまず下りないと考えてください。就労ビザは専門的・技術的な業務に従事するために付与された資格であり、その趣旨に反する活動は許可されません。
風俗営業への従事は許可に関わらず禁止
資格外活動許可を取得していたとしても、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に該当する業種での就労は一切禁止です。これはすべての在留資格に共通するルールです。
具体的にはキャバクラ、ホストクラブ、パチンコ店、ゲームセンター、性風俗関連の店舗などが該当します。通常の居酒屋やレストランは風俗営業には該当しませんが、接待を伴う飲食店(スナック、ラウンジ等)は風俗営業に分類されるため注意が必要です。
実務上は、「友人の店を手伝うだけ」「報酬はもらっていない」といった弁解をされる方がいますが、入管の判断では無報酬であっても風俗営業所での活動自体が問題視されます。風俗営業への従事が発覚した場合は、在留資格の取消しだけでなく退去強制の対象にもなり得るため、絶対に避けてください。
資格外活動許可の申請手続きと必要書類
就労ビザを持つ方が資格外活動許可(個別許可)を申請する際の手続きと必要書類は以下のとおりです。
申請先は住居地を管轄する出入国在留管理局の窓口で、手数料は無料です。
必要書類は以下のとおりです。
- 資格外活動許可申請書(入管庁ウェブサイトからダウンロード可能)
- パスポートおよび在留カード
- 副業先の会社概要がわかる資料(会社案内、登記事項証明書等)
- 副業の業務内容・勤務時間・報酬額を記載した雇用契約書または業務委託契約書
- 本業の雇用主が副業を承諾していることを示す書面(任意だが提出すると審査がスムーズ)
実務上は、副業先との契約書が最も重要な書類です。業務内容が在留資格の範囲に関連していることを審査官に明確に伝える必要があるため、契約書の業務内容欄は具体的かつ詳細に記載することをお勧めします。「ITコンサルティング業務」のような曖昧な表現ではなく、「Webアプリケーションの設計・開発に関する技術支援」のように具体的に書くことで許可率が上がります(このあたりは行政書士に相談いただくのが確実です)。
審査期間は概ね2週間から2か月程度です。本業の勤務に支障がないこと、副業の内容が在留資格の活動範囲に関連していることが確認できれば許可される傾向にあります。なお、申請中は許可が下りるまで副業を開始することはできません。「申請さえすれば働ける」という誤解が散見されますが、あくまで許可が下りてから活動を開始する必要があります。
また、個別許可では副業先が変わるたびに新たな許可が必要です。たとえばA社での副業で許可を取得していても、B社での副業を始める場合は改めてB社に関する資格外活動許可を取り直さなければなりません。フリーランスとして複数のクライアントと契約する場合は、それぞれについて許可が必要になるケースもあるため、事前に入管や行政書士に確認しておくことが重要です。
資格外活動許可は在留期間の更新や在留資格の変更を行うと失効します。更新後に再度副業をする場合は、改めて資格外活動許可を取り直す必要があります。
無許可のアルバイト・副業が発覚した場合のリスクは在留資格の取消し
資格外活動許可を取得せずにアルバイトや副業を行った場合、または許可された範囲を超えて活動した場合、以下のような深刻なリスクがあります。
- 在留資格取消しの対象となる(入管法第22条の4第1項第6号)
- 次回の在留期間更新が不許可になる可能性が高い
- 退去強制事由に該当する場合がある(入管法第24条第4号イ)
- 刑事罰として3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科される可能性がある
- 将来の永住許可申請や帰化申請に悪影響を及ぼす
実務上は、在留期間更新の審査時に入管が課税証明書や確定申告の内容を確認するケースが増えており、副業収入の存在が税務情報から発覚するパターンが最も多いです。「確定申告しなければバレない」と考える方もいますが、マイナンバー制度の導入により、複数の収入源を把握する仕組みは年々強化されています。
特に注意すべきなのは、副業が発覚した場合のダメージは「その時点」にとどまらないということです。一度でも不法就労の履歴がつくと、その後の在留資格変更や永住許可の申請において長期にわたって不利に働きます。目先の収入のために在留資格全体を危険にさらす行為は、実務上まったく割に合いません(出典 e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」)。
身分系在留資格(配偶者・永住者)であれば就労制限なくアルバイト可能
ここまで就労ビザでの副業・アルバイトの制約について説明してきましたが、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」のいわゆる身分系在留資格を持つ方は、就労に関する制限がありません。資格外活動許可の取得も不要で、どのような業種・職種でも自由に働くことができます。
| 在留資格 | 就労制限 | 副業・アルバイト |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務等の就労ビザ | 在留資格で許可された業務に限定 | 資格外活動許可が必要 |
| 永住者 | なし | 自由に可能 |
| 日本人の配偶者等 | なし | 自由に可能 |
| 永住者の配偶者等 | なし | 自由に可能 |
| 定住者 | なし | 自由に可能 |
実務上は、就労ビザで副業をしたいという相談を受けた際に、配偶者が日本人や永住者であれば「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」への在留資格変更を検討することもあります。身分系在留資格に変更できれば就労制限がなくなるため、副業の自由度は格段に上がります。ただし、在留資格の変更には要件がありますので、安易に変更できるものではない点にはご留意ください。
また、永住許可を取得すれば就労制限から完全に解放されます。永住許可の要件を満たしている方は、長期的な視点で永住申請を検討されることをお勧めします。副業を自由に行いたいという動機だけで身分系ビザへの変更を狙うのは現実的ではありませんが、すでに要件を満たしている方にとっては有力な選択肢です。
身分系在留資格であっても、勤務先への届出義務や税務上の確定申告義務は就労ビザの方と同様に発生します。就労制限がないことと法的義務がないことは別の話ですので、副業を始める際は税務面での対応も忘れずに行ってください。
最後に
就労ビザでのアルバイトや副業は、資格外活動許可を取得すれば条件付きで認められます。ただし、留学生のアルバイトとは異なり、就労ビザの方には「個別許可」が求められ、副業内容が在留資格に関連していることや本業に支障がないことなど、厳格な審査基準が設けられています。許可なく副業を始めてしまうと、在留資格の取消しという取り返しのつかない結果を招くおそれがあります。
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