入管への申請で最も多い質問が「結果はいつ出るのか」です。結論から言うと、在留期間更新なら2週間〜1か月、在留資格変更なら1〜2か月、在留資格認定証明書なら1〜3か月、永住許可なら4〜6か月が出入国在留管理庁の公表する標準処理期間です。ただし実務上は、この期間内にきれいに収まるケースの方がむしろ少ないというのが正直なところです。この記事では、手続きごとの審査期間の目安、審査が長引く典型的な原因、在留期限が迫っている場合の特例期間の使い方まで、申請の現場で実際に起きていることをまとめました。
目次
入管の審査期間は手続きごとに2週間〜6か月が目安
出入国在留管理庁は、主要な在留手続きについて「標準処理期間」を公表しています。これは申請を受け付けてから処分(許可または不許可)を告知するまでの標準的な期間です。手続きごとの標準処理期間と手数料を整理すると以下のとおりです。
| 手続き | 標準処理期間 | 手数料(許可時) |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(COE) | 1か月〜3か月 | 不要 |
| 在留資格変更許可申請 | 1か月〜2か月 | 6,000円(オンライン5,500円) |
| 在留期間更新許可申請 | 2週間〜1か月 | 6,000円(オンライン5,500円) |
| 永住許可申請 | 4か月〜6か月 | 10,000円 |
| 資格外活動許可申請 | 2週間〜2か月 | 不要 |
いずれも出入国在留管理庁が各手続きの案内ページで明示している数値です(出典 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」、出典 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」)。手続きの詳細な流れは在留資格変更許可申請の手続きガイドで解説しています。
標準処理期間は目安であり、法的な期限ではない
ここが最も誤解されているポイントです。標準処理期間は行政手続法上の努力目標であって、「この期間を過ぎたら自動的に許可になる」「入管に対して結果を出せと請求できる」という性質のものではありません。実務上、更新申請で2週間〜1か月と書いてあるのに2か月かかることは日常的にあります。
(率直に言えば、標準処理期間を鵜呑みにしてスケジュールを組むと確実に痛い目を見ます。私は企業からの相談を受けるとき、公表値の1.5倍から2倍の期間を見込んでくださいと必ず伝えています)
入管庁は月ごとに平均処理日数を公表している
より実態に近い数字を知りたい場合は、出入国在留管理庁が公表している「在留審査処理期間」を確認するのが確実です。全国の地方出入国在留管理局における平均処理日数が、令和6年10月許可分から月単位で更新されています(出典 出入国在留管理庁「在留審査処理期間」)。
この資料には重要な注記があります。公表されている日数は「申請を受けてから許可に至るまでの期間」であり、不許可処分や申請取下げのケースは集計に含まれていません。つまり、実際に許可が出た案件だけの平均値です。また地方局ごとに数字は大きく異なり、東京出入国在留管理局のように申請が集中する官署では、地方の官署より処理日数が長くなる傾向があります。
在留資格変更は1〜2か月、在留期間更新は2週間〜1か月が標準
同じ「在留資格の手続き」でも、変更と更新では審査の重さがまったく違います。この差を理解しておくと、自分のケースがどれくらいかかるかの見当がつきます。
変更申請は活動内容を一から審査するため時間がかかる
在留資格変更許可申請は、これから行う活動が新しい在留資格に該当するかどうかを入管がゼロベースで判断する手続きです。学歴と職務内容の関連性、受入れ企業の事業の安定性、報酬の妥当性など、審査項目が多岐にわたります。留学から就労への切替えのように、在留資格の系統がまたがる変更は特に慎重に審査されます。
実務上の感覚では、技術・人文知識・国際業務への変更で1か月半から2か月、経営管理への変更なら2か月から3か月を見ておくのが現実的です。経営管理は事業計画の実現可能性まで踏み込んで審査されるため、標準処理期間を超えることが珍しくありません。
更新申請でも転職後の初回更新は変更申請並みに時間がかかる
在留期間更新は「これまでと同じ活動を続ける」ことが前提なので、本来は最も短く済む手続きです。カテゴリー1の上場企業に勤める技人国の方であれば、2週間程度で結果が出ることも普通にあります。
ところが転職後に初めて迎える更新申請は事情が違います。新しい勤務先での業務内容が在留資格に該当するか、企業の経営状況は安定しているかを実質的に一から審査するため、審査期間が1.5か月から2か月に伸びるケースが多いです。更新手続き全般の流れは在留期間更新許可申請の完全ガイドにまとめています。
(転職した方から「更新だからすぐ出ますよね」と聞かれることが多いのですが、実態としては変更申請とほぼ同じ重さで審査されると考えてください)
在留資格認定証明書は1〜3か月、永住は4〜6か月かかる
海外から呼び寄せるCOE(在留資格認定証明書)と永住許可申請は、他の手続きとは時間軸が大きく異なります。採用計画や人生設計に直結する部分なので、正確に把握しておく必要があります。
COEは交付後のビザ申請と渡航準備でさらに1〜2か月かかる
在留資格認定証明書交付申請の標準処理期間は1か月から3か月です(出典 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」)。ただしCOEが交付されて終わりではありません。交付されたCOEを本国の申請人に送り、現地の日本大使館・領事館で査証(ビザ)を申請し、査証発給を待って渡航するという工程が続きます。
この査証申請だけで通常5営業日から2週間、国によってはそれ以上かかります。申請から実際の入社までを逆算すると、最低でも4か月、余裕を見るなら6か月前には動き出す必要があります。COE申請の詳細は在留資格認定証明書(COE)交付申請の記事で解説しています。
COEには交付日から3か月の有効期間があります。交付を受けたのに渡航手配が遅れて有効期間を過ぎると、原則として再申請が必要になります。交付連絡が来たら速やかに本国へ送付してください。
永住許可申請は標準処理期間どおりに終わらないことが多い
永住許可申請の標準処理期間は4か月から6か月です(出典 出入国在留管理庁「永住許可申請」)。しかし申請の現場では、8か月から1年かかるケースが相当数あります。永住は在留資格の中で最も強い地位を与える許可であり、過去10年分の在留状況、納税、年金・健康保険の納付実績、素行までを網羅的に審査するためです。
永住審査で最も時間を食うのは、年金・税の納付記録の確認です。1回でも国民年金の納付遅れがあると、その事情確認だけで追加のやり取りが発生します。永住申請の全体像は日本の永住権を取得するには?で詳しく扱っています。
(永住は「出したら忘れて待つ」くらいの心構えがちょうどいい手続きです。半年経って音沙汰がなくても、それ自体は異常ではありません)
審査が長引く原因は追加資料・繁忙期・受入機関・在留状況の4つ
審査が標準処理期間を大きく超える場合、原因はほぼこの4つのどれかに当てはまります。順に見ていきます。
追加資料提出通知(追完)が来ると1〜2か月延びる
審査中に入管が判断材料の不足を感じると、「資料提出通知書」が送られてきます。実務では「追完」と呼ばれるものです。この通知には提出期限(通常2週間から1か月)が設定されており、資料を提出した時点から審査が再スタートするため、トータルで1〜2か月は確実に延びます。
追完が来やすいのは、業務内容の説明が抽象的な場合、学歴と職務の関連性が読み取りにくい場合、企業の決算が赤字である場合、申請人の課税・納税証明に空白期間がある場合です。逆に言えば、これらを最初から資料で潰しておけば追完を避けられます。
3〜4月と9〜10月は入管が最も混雑する
入管の繁忙期は明確です。4月入社・4月入学に向けた申請が集中する2月から4月、そして10月入学・下期入社に向けた8月から10月です。この時期は同じ内容の申請でも、通常期より2週間から1か月余計にかかると考えてください。
特に3月は、年度末に在留期限を迎える方の更新申請と、新卒外国人の留学からの変更申請が重なります。(毎年3月の東京入管の混雑ぶりは相当なもので、窓口に朝から並んでも受付までに数時間かかることがあります)
所属機関のカテゴリーが3・4だと審査項目が増える
就労系の在留資格では、受入れ企業が規模や源泉徴収税額に応じてカテゴリー1から4に区分されます。カテゴリー1の上場企業や公的機関であれば提出書類は最小限で済み、審査もスピーディーです。一方でカテゴリー3・4の中小企業や設立間もない会社は、決算書・登記事項証明書・事業内容の説明資料まで求められ、その分だけ確認作業が増えます。
| カテゴリー | 該当する企業 | 審査期間への影響 |
|---|---|---|
| カテゴリー1 | 上場企業、国・地方公共団体、独立行政法人等 | 最も短い(更新なら2〜3週間も) |
| カテゴリー2 | 前年分の源泉徴収税額が1,000万円以上の企業 | 短い |
| カテゴリー3 | 前年分の法定調書合計表を提出済みの企業 | 標準〜やや長い |
| カテゴリー4 | 上記に該当しない企業(設立直後など) | 最も長い(2か月超も珍しくない) |
設立1期目でカテゴリー4になる会社が外国人を採用する場合、事業の継続性を疑われやすく、追完も入りやすい構図になります。この場合は最初から事業計画書や取引先との契約書を添付して、疑問を持たれる前に説明を尽くしておくべきです。
過去の在留状況に疑義があると照会に時間がかかる
資格外活動の週28時間超過、住居地変更届出の遅れ、所属機関等に関する届出の未提出、税金や年金の未納といった事情があると、入管は他機関への照会や事実確認を行います。この照会は申請人からは見えないところで進むため、外形的には「何も起きていないのに時間だけが過ぎる」状態になります。
また、在留資格に該当しない活動を長期間行っていた疑いがある場合は、在留資格取消しの検討も並行して行われるため、審査はさらに長期化します。(過去にオーバーワークがあった留学生の就労ビザへの変更は、それだけで審査期間が倍近くになることがあります)
在留期限が迫っても申請中なら最長2か月の特例期間がある
審査期間で最も切実な相談が「在留期限まであと1週間なのに結果が出ない」というものです。この場合に効いてくるのが特例期間です。
特例期間は処分の日か期限から2か月後の早い方まで続く
在留カードを持つ方が在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行い、在留期間の満了日までに処分がされない場合、処分がされる時、または在留期間の満了日から2か月が経過する日のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格で日本に在留できます(入管法第21条第4項)。この期間中は従前の活動を行うことができるため、就労も従来どおり継続できます(出典 出入国在留管理庁「特例期間とは?」)。
企業の人事担当者から「在留期限が切れた社員を働かせ続けて不法就労助長にならないか」という質問をよく受けますが、期限内に適法な申請が受理されていれば問題ありません。窓口申請の場合は在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中である旨が記載されるので、これが証拠になります。
特例期間を使うには期限内の申請受理が絶対条件
特例期間はあくまで「在留期間の満了日までに適法な申請が受理されていること」が前提です。1日でも期限を過ぎてから申請した場合、特例期間は適用されず、その時点でオーバーステイ(不法残留)となります。
特例期間中の海外渡航は原則として避けてください。申請中に出国すると申請が取り下げ扱いになり、再入国できなくなるおそれがあります。やむを得ず渡航が必要な場合は、事前に申請先の地方出入国在留管理局へ相談してください。
また、特例期間中は在留カードの表面の在留期間は切れた状態のままです。銀行口座の開設、携帯電話の契約、賃貸契約の更新などで「在留期限切れ」と判断され、手続きを断られるトラブルが実際に起きています。この場合は在留カード裏面の申請中の記載を示して説明するか、地方局で申請中である旨の証明を受けることで対応します。
オンライン申請を利用した場合は在留カードへの記載がないため、この点はより注意が必要です。オンライン申請の使い方は在留資格のオンライン申請方法で解説しています。
審査状況の問い合わせは電話ではなくオンラインシステムで確認する
結果を待つ側としては進捗を知りたくなりますが、確認方法には明確なルールがあります。
入管庁は電話による個別の進捗照会を控えるよう明示している
出入国在留管理庁は、電話による個別の進捗状況の問い合わせについて「お控えください」と公式に案内しています。照会対応が審査業務そのものを圧迫しているためです。審査が終われば、ハガキまたはメールで通知が届きます(出典 出入国在留管理庁「在留諸申請の進捗状況の確認について」)。
(電話をかけても「審査中です」としか返ってこないのが実情です。かけた分だけ全体の審査が遅くなると考えて、待つ方が結果的に早いです)
オンライン申請なら申請状態を自分で確認できる
在留申請オンラインシステムを使って申請した場合は、「申請情報一覧」の「申請状態」欄から現在の状況を確認できます。表示されるのは「申請完了」「審査中」「発行待ち」「完了」などのステータスで、追加資料が必要な場合は「追完待ち」と表示されます。
この「追完待ち」がリアルタイムで見えるのはオンライン申請の大きな利点です。窓口申請だと資料提出通知書が郵送で届くまで気づけませんが、オンラインなら即座に対応に動けます。数日の差でも、期限が迫っている場面では大きな意味を持ちます。
審査期間を短くするにはオンライン申請と書類の作り込みが効く
入管の審査そのものを早めることはできませんが、審査に入るまでの時間と、追完によるロスは自分でコントロールできます。
オンライン申請は窓口待ちと郵送の時間をまるごと削れる
オンライン申請の最大のメリットは、窓口の待ち時間がゼロになることと、手数料が500円安くなること(6,000円が5,500円)です。繁忙期に窓口で半日を潰すことを考えれば、この差は決して小さくありません。
加えて、書類の追加提出もオンラインで完結するため、追完が発生した場合の往復時間も短縮できます。(オンライン申請の利用には利用者情報登録が必要で、この登録自体に数日かかります。急ぎの案件で初めて使う場合は、登録を先に済ませておいてください)
理由書で入管の疑問に先回りすると追完が減る
審査期間を短縮する上で最も効果が大きいのが理由書です。入管が疑問に思いそうな点を、聞かれる前に説明してしまうという発想です。
- 大学の専攻と職務内容の関連性を具体的な科目名と業務内容で結びつける
- 直近決算が赤字の場合は、その理由と今後の見通しを数字で説明する
- 転職の場合は前職での業務と新職の連続性を明示する
- 過去に届出の遅れがある場合は、事情と是正済みである事実を先に述べる
- 報酬額が同種の日本人より低く見える場合は、手当や賞与を含めた総額を示す
理由書の書き方は入管への申請理由書の書き方で具体例を交えて解説しています。実務上、理由書を丁寧に作った案件と、申請書だけ出した案件では、追完の発生率が体感で倍近く違います。
書類は「揃っている」ではなく「読めば判断できる」状態にする
必要書類リストを埋めることと、審査官が判断できる資料になっていることは別物です。たとえば雇用契約書に「営業事務」とだけ書いてあると、単純作業ではないかという疑問が残ります。ここに業務内容説明書を添えて、取引先とのやり取りや翻訳業務の割合まで示せば、審査官は追加照会をせずに判断できます。
審査官の手元にある資料だけで結論が出せる状態を作ることが、最短で結果を得る唯一の方法です。(不備がゼロの申請というのは意外と少なく、だからこそ差がつく部分です)
審査が長い=不許可のサインではない
「3か月経っても連絡がない、不許可なのではないか」という相談は非常に多いです。結論として、審査期間の長さと結果の良し悪しに明確な相関はありません。
不許可の方が早く出ることもある
実務上、在留資格に明らかに該当しない申請や、要件を満たさないことが書類上すぐわかる申請は、比較的短期間で不許可の通知が来ます。逆に、判断が微妙で入管が慎重に検討している案件ほど時間がかかる傾向があります。つまり時間がかかっているということは、入管が許可の方向で検討材料を精査している可能性もあるということです。
ただしこれはあくまで傾向であり、審査期間から結果を予測することはできません。許可の可否は個別の事情によって判断されます。(待っている間にできることは何もありません。連絡が来たら即座に動けるよう、追加資料の候補を準備しておくのが唯一の建設的な行動です)
標準処理期間を大幅に超えたときに確認すべきこと
標準処理期間の2倍を超えても連絡がない場合は、以下を確認してください。
- 資料提出通知書が届いていないか(引っ越し後の住所変更届出漏れで通知が届いていないケースが実際にあります)
- オンライン申請の場合、申請状態が「追完待ち」になっていないか
- 申請時に登録したメールアドレスの迷惑メールフォルダに通知が入っていないか
- 申請取次を依頼している場合、行政書士側に通知が届いていないか
これらを確認しても何もなければ、あとは待つしかありません。どうしても事情がある場合(内定先の入社日が迫っている、家族の呼び寄せに期限があるなど)は、その事情を書面で地方局に提出することで、考慮される場合があります。ただし優先処理が保証されるものではありません。
最後に
入管の審査期間は、在留期間更新で2週間〜1か月、在留資格変更で1〜2か月、COEで1〜3か月、永住許可で4〜6か月が公表されている標準処理期間です。実務ではこれを超えることが多く、追加資料の提出通知、繁忙期の集中、受入機関のカテゴリー、過去の在留状況が主な長期化の要因になります。在留期限が迫っていても、期限内に申請が受理されていれば最長2か月の特例期間で従前の活動を継続できるため、まず必要なのは「期限内に申請を受理してもらうこと」です。そして審査期間を実質的に短縮する手段は、追完を発生させない書類の作り込みに尽きます。
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