在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人に対して出入国在留管理庁が交付する身分証明書です。在留カード(英語ではresidence card)には、在留資格の種類、在留期間、就労制限の有無などが記載されており、外国人本人の在留状況を一枚で把握できるカードとして機能しています。企業の人事担当者が外国人を雇用する際にも、最初に確認すべき書類が在留カードです。この記事では、在留カードの見方、記載内容の読み解き方、番号の意味、有効期限、携帯義務、偽造確認方法まで、実務に必要な知識を網羅的に解説します。
目次
在留カードは中長期在留者に交付される身分証明書
在留カードは、入管法(出入国管理及び難民認定法)第19条の3に基づき、日本に中長期間在留する外国人に対して交付されます。2012年7月の新しい在留管理制度の施行により、それまでの外国人登録証明書に代わって導入されました。英語ではresidence cardと表記され、カード表面にも「Residence Card」と英語が併記されています。在留カードは日本国内において外国人の身分証明書として機能するだけでなく、在留資格の種類や就労の可否を第三者が確認するための公的書類でもあります。
在留カードの交付対象となる「中長期在留者」とは、在留資格をもって日本に在留する外国人のうち、以下のいずれにも該当しない者を指します。つまり、在留期間が3か月を超え、正規の在留資格を持つ外国人のほとんどが対象です。
在留カードの交付は、新規上陸の場合は空港で上陸許可と同時に行われます(成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港、新千歳空港、広島空港、福岡空港が対象)。これら以外の空港や海港から入国した場合は、後日、届け出た住居地に在留カードが郵送されます。在留資格の変更許可や在留期間の更新許可を受けた場合は、出入国在留管理局の窓口で新しい在留カードが交付されます。
在留カードが交付される対象と交付されない外国人の違い
在留カードは全ての外国人に交付されるわけではありません。以下の外国人には交付されないため、企業の採用担当者は注意が必要です。
| 区分 | 在留カードの交付 | 具体例 |
|---|---|---|
| 中長期在留者 | 交付される | 技術・人文知識・国際業務、永住者、日本人の配偶者等、留学、特定技能など |
| 短期滞在者 | 交付されない | 観光・商用等で在留期間が90日以内の者 |
| 在留期間が3か月以下の者 | 交付されない | 在留資格「外交」「公用」で3か月以下の在留期間が決定された者 |
| 特定活動(一部) | 交付されない | 外交官等の家事使用人、台湾日本関係協会の職員等 |
| 特別永住者 | 交付されない(別途「特別永住者証明書」が交付) | 入管特例法に基づく特別永住者 |
実務上は、「在留カードを持っていない=不法滞在」と即断してはいけません。短期滞在や特別永住者のように、在留カードが交付されない正規の在留資格もあります。(申請の現場では、特別永住者証明書と在留カードを混同している企業担当者が少なくありません。)
なお、日本人には在留カードは交付されません。在留カードは外国人の在留管理のための制度であり、日本国籍を有する方は対象外です。
在留カードの表面には在留資格・在留期間・就労制限の有無が記載されている
在留カードの表面(おもて面)には、外国人の在留状況を把握するために必要な情報が集約されています。カードの見方として、主要な記載項目を確認しましょう。
| 記載項目 | 内容 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 氏名 | パスポートに記載されたアルファベット表記の氏名 | 漢字圏の方は漢字の併記あり |
| 生年月日 | 西暦で表示 | パスポートと一致しているか確認 |
| 性別 | 男性・女性 | – |
| 国籍・地域 | 本人の国籍または出身地域 | 台湾・香港等は「地域」として記載 |
| 住居地 | 日本国内の住所 | 住民票の住所と一致している必要あり |
| 在留資格 | 入管法上の在留資格の種類 | 雇用する業務内容と合致しているかが最重要 |
| 就労制限の有無 | 「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「就労不可」など | 雇用判断で最初に確認すべき項目 |
| 在留期間(満了日) | 在留が認められる期間と満了日 | 満了日前に更新申請が必要 |
| 在留カード番号 | アルファベットと数字の組み合わせ(12桁) | 番号で有効性を確認可能 |
| 顔写真 | 本人の顔写真 | 16歳未満は写真なし |
実務上は、企業が外国人を雇用する際、「在留資格」「就労制限の有無」「在留期間(満了日)」の3項目を最初に確認することが鉄則です。就労制限の記載が「就労不可」となっている場合でも、裏面に資格外活動許可の記載があればアルバイト等の就労が認められることがあります。
裏面には住居地と資格外活動許可の情報が記載される
在留カードの裏面には、以下の情報が記載されています。
- 住居地の変更履歴(転居した場合に市区町村窓口で記載される)
- 資格外活動許可の有無(「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」等の記載)
- 在留期間更新等許可申請の受付印(申請中であることを示す欄)
特に重要なのが資格外活動許可の欄です。「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、表面の就労制限が「就労不可」であっても、裏面に資格外活動許可の記載があれば原則週28時間以内のアルバイトが可能です。(申請の現場では、表面だけ見て「この人は働けない」と判断してしまう企業が非常に多いです。裏面まで必ず確認してください。)
なお、留学生の場合、学校の長期休業期間中(夏休み・春休み等)は1日8時間まで就労が認められます。ただし、風俗営業等への従事は長期休業期間中であっても禁止されています。裏面の資格外活動許可欄にこれらの条件が記載されているため、雇用する側は許可の内容を正確に把握しておく必要があります。
また、在留カード裏面の在留期間更新等許可申請欄には、更新申請中であることを示す受付印が押される場合があります。在留期間の満了日を過ぎても更新申請の結果が出ていない場合、この受付印があれば満了日から最大2か月間は従前の在留資格で在留が認められます。企業が「在留期間が切れているのでは」と不安になるケースがありますが、裏面の受付印を確認することで申請中であることが判別できます。
在留カード番号のアルファベットと数字には意味がある
在留カード番号は、アルファベット2文字+数字8桁+アルファベット2文字の計12桁で構成されています。例えば「AB12345678CD」のような形式です。
番号の構成は以下のとおりです。
- 先頭2文字のアルファベットはカードの種別や発行に関する区分を示す
- 中央の8桁の数字は個別の通し番号
- 末尾2文字のアルファベットはチェックデジットに相当する検証用の符号
在留カード番号のアルファベットの意味について、出入国在留管理庁は番号体系の詳細を公式には公開していません。ただし、実務上は先頭のアルファベットが発行時期や種別の区分を示していると考えられています。
在留カード番号は、後述する出入国在留管理庁の確認サイトでカードの有効性を照会する際に必要になります。また、企業が外国人を雇用する際のハローワークへの届出(外国人雇用状況届出)にも在留カード番号の記載が求められるため、番号は正確に控えておく必要があります。
在留資格の変更許可や在留期間の更新許可を受けると、新しい在留カードが交付され、在留カード番号も変わります。そのため、企業の人事担当者は更新のたびに新しい番号を記録し直す必要があります。(実務上は、従業員の在留カード番号が更新後も古い番号のまま放置されている企業が散見されます。外国人雇用状況届出の内容と齟齬が生じる原因になるため、更新の都度、番号の差し替えを忘れないようにしてください。)
在留カードの有効期限は在留資格と年齢で異なる
在留カード自体の有効期限は、在留資格の種類と本人の年齢によって異なります。在留期間の満了日とカードの有効期限が一致しない場合もあるため注意が必要です。
| 在留資格 | 年齢区分 | 在留カードの有効期限 |
|---|---|---|
| 永住者 | 16歳以上 | 交付の日から7年間 |
| 永住者 | 16歳未満 | 16歳の誕生日まで |
| 永住者以外 | 16歳以上 | 在留期間の満了日まで |
| 永住者以外 | 16歳未満 | 在留期間の満了日または16歳の誕生日のいずれか早い日まで |
永住者の場合は在留期間の定めがないため、カード自体に7年の有効期限が設けられています。永住者であっても在留カードの有効期間の更新申請は必要であり、更新を怠るとカードの有効性が切れてしまいます。(実務上は、永住者の方が「永住だから何もしなくていい」と思い込み、カードの期限切れに気づかないケースが定期的に発生しています。)
16歳未満の方には顔写真のない在留カードが交付されますが、16歳の誕生日までに顔写真付きの在留カードへの切り替えが必要です。切り替えの申請は16歳の誕生日の6か月前から受け付けており、誕生日までに手続きを完了させなければなりません。
なお、在留カードの有効期限が近づいても出入国在留管理庁から通知が届くわけではありません。有効期限の管理は本人の自己責任となるため、特に永住者の方はカレンダーやスマートフォンのリマインダー機能を活用して期限管理を行うことをお勧めします。
在留カードは常時携帯が義務で違反には罰則がある
入管法第23条は、中長期在留者に対して在留カードの常時携帯義務を定めています。在留カードを携帯していなかった場合、20万円以下の罰金に処せられる可能性があります(入管法第75条の3)。
常時携帯義務について、よくある誤解を整理します。
- 在留カードのコピーでは携帯義務を果たしたことにならない(原本の携帯が必要)
- 16歳未満の者は常時携帯義務が免除される
- 特別永住者は特別永住者証明書の常時携帯義務が2012年の法改正で廃止されている(在留カードとは異なる扱い)
- 入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合は提示する義務がある
在留カードを携帯していない状態で警察官から提示を求められた場合、その場で身分を証明できず、不法滞在の疑いをかけられるリスクがあります。外出時は必ず在留カードの原本を携帯してください。
実務上は、在留カードを紛失・盗難に遭った場合、14日以内に出入国在留管理局へ再交付申請を行う必要があります。紛失届を警察に提出した上で、再交付申請書と顔写真を持参して手続きを行います。再交付の手数料は無料ですが、汚損・毀損による再交付の場合は手元の在留カードを返納する必要があります。
また、在留カードを自宅に忘れて外出してしまった場合でも、厳密には携帯義務違反に該当します。実務上は、悪質なケースでなければ直ちに罰金を科されることは稀ですが、万一の際のリスクを避けるためにも、外出時のチェックリストに在留カードの携帯を加えておくとよいでしょう。
在留カードの偽造確認は出入国在留管理庁のサイトで可能
出入国在留管理庁は、在留カード番号の有効性を確認できるオンラインサービスを提供しています。在留カード等番号失効情報照会のページから、在留カード番号と有効期限を入力することで、そのカード番号が有効か失効しているかを確認できます。
このサイトで確認できるのは「番号が失効していないか」だけであり、カード自体の偽造を見抜けるわけではありません。偽造カードに実在する有効な番号が印字されている場合、サイト上では「有効」と表示される可能性があります。
偽造カードを見抜くためには、番号照会に加えて物理的な確認も重要です。正規の在留カードには以下のセキュリティ機能が施されています。
- カード表面を傾けると「MOJ」の文字がホログラムで浮かび上がる
- カードの左端にある銀色のホログラムが角度によって色が変化する
- 暗所でカード表面に強い光を当てると「MOJ」の透かしが確認できる
- カード裏面にはICチップが内蔵されており、専用アプリ「在留カード等読取アプリケーション」で内容を読み取れる
出入国在留管理庁は在留カードの偽変造防止のため、ICチップの情報を読み取るアプリケーションを無料で公開しています。スマートフォンのNFC機能を使って在留カードのICチップを読み取ることで、カード券面の記載内容とICチップ内の情報が一致しているかを確認できます。企業が大量の外国人を雇用している場合は、このアプリの活用を強くお勧めします。
企業が外国人を雇用する際の在留カード確認ポイント
企業が外国人を採用する際、在留カードの確認は法的にも実務的にも不可欠です。以下のポイントを順に確認してください。
- 在留カードの原本を提示してもらう(コピーだけでの確認は不十分)
- 顔写真と本人が一致しているか目視で確認する
- 在留資格の種類が、任せたい業務内容と合致しているか確認する
- 就労制限の有無を表面で確認し、「就労不可」の場合は裏面の資格外活動許可も確認する
- 在留期間の満了日が過ぎていないか確認する
- 在留カード番号を出入国在留管理庁の照会サイトで有効性を確認する
- カード表面に印字されたMOJの透かし文字やホログラムの有無を目視で確認する
不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、外国人に不法就労活動をさせた者に3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科すると定めています。「知らなかった」は通用しないため、採用時の在留カード確認は企業防衛の観点からも極めて重要です。
在留カードの届出義務を怠ると在留資格の更新に影響する
在留カードに関しては、記載事項に変更があった場合の届出義務があります。届出を怠った場合、在留資格の更新許可申請や変更許可申請の審査で不利に働く可能性があります。
主な届出義務は以下のとおりです。
| 届出事項 | 届出先 | 届出期限 |
|---|---|---|
| 住居地の届出(新規上陸後) | 住居地の市区町村 | 住居地を定めた日から14日以内 |
| 住居地の変更届出(転居) | 転入先の市区町村 | 転居した日から14日以内 |
| 氏名・国籍等の変更届出 | 出入国在留管理局 | 変更が生じた日から14日以内 |
| 所属機関の変更届出(転職・退職等) | 出入国在留管理局 | 変更が生じた日から14日以内 |
| 在留カードの紛失・盗難・毀損 | 出入国在留管理局 | 事実を知った日から14日以内 |
(申請の現場では、転職した際の所属機関変更届出を忘れている方が非常に多いです。届出義務違反は直接的な罰則に加え、次回の在留期間更新許可申請の審査で「届出義務を履行していない」と指摘され、短い在留期間しか許可されない原因になります。)
届出義務違反に対する罰則は、住居地の届出に関しては虚偽届出で1年以下の懲役または20万円以下の罰金、届出不履行で20万円以下の罰金と定められています。罰則が適用されるだけでなく、届出義務違反は在留資格の取り消し事由にも該当するため、軽視してはいけません。
実務上は、所属機関の変更届出はオンラインでも提出可能です。出入国在留管理庁の電子届出システムを利用すれば、入管局に出向くことなく14日以内の届出を完了できます。転職が多い業界で働く外国人の方には、このオンライン届出の活用をお勧めしています。
特に住居地の届出は重要です。新たに上陸した外国人が住居地の届出をしないまま90日が経過した場合、在留資格が取り消される可能性があります(入管法第22条の4第1項第10号)。転居の届出を怠った場合も同様のリスクがあるため、引っ越しの際は速やかに届出を行ってください。
最後に
在留カードは、外国人の在留資格や就労可否を確認するための最も基本的な書類です。カードの見方を理解し、記載内容を正確に読み取ることは、外国人本人にとっても雇用する企業にとっても欠かせません。在留カードの表面・裏面の情報を正しく読み解くことが、適切な在留管理と法令遵守の第一歩です。
在留カードの記載内容に関する疑問、在留資格の更新・変更手続き、届出義務への対応、外国人雇用時の在留カード確認方法など、在留管理に関してお困りのことがあれば、在留資格センターまでお気軽にご相談ください。申請の現場で培った実務経験をもとに、正確かつ迅速にサポートいたします。


