特定技能の対象分野・職種一覧|最新の追加業種と業務区分を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 特定技能の対象分野は今いくつある?
  • 最近追加された業種を確認したい
  • 自社の業種が特定技能の対象か知りたい

特定技能ビザで外国人を受け入れたいが、そもそもどの分野・職種が対象なのか分からない。そんな声を企業から頻繁に聞きます。特定技能制度は2019年の創設時に14分野でスタートし、その後の閣議決定を経て対象が段階的に拡大されてきました。この記事では、現行の全分野一覧・受入れ見込み数・業務区分の詳細に加え、追加・拡大の経緯と今後の動向まで、申請の現場で実際に必要になる情報を整理しています。

特定技能の対象は当初14分野から段階的に拡大し現在16分野に達している

特定技能制度は2019年4月に施行され、当初の対象は14の特定産業分野でした。その後、人手不足の深刻化を受けて政府は対象分野の見直しを進め、2024年3月の閣議決定で「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新たに追加されました。同時に既存分野の統合・名称変更も行われたため、現在の対象は合計16分野となっています。

実務上は「分野が増えた」という報道だけを見て問い合わせてくる企業が多いのですが、分野が追加されても即座に受入れが始まるわけではありません。分野ごとに試験の整備や運用要領の策定が必要であり、追加決定から実際に受入れ可能になるまでにはタイムラグがあります。新規追加分野での受入れを検討している企業は、所管省庁の最新情報を必ず確認してください。

また、制度創設当初の14分野と現在の16分野では、名称が変わっている分野もあります。旧「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野は2022年に統合されて「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」となり、さらに2024年の見直しで「工業製品製造業」に改称されました。ネット上には旧名称のまま情報が残っていることが多いため、古い情報を参照して混乱しないよう注意が必要です。

全分野の一覧と受入れ見込み数・業務区分

2024年3月29日の閣議決定を反映した、特定技能の全16分野の一覧は以下の通りです。受入れ見込み数は2024年度から2028年度までの5年間の上限として設定されています。

分野名 1号 2号 受入れ見込み数(5年間) 主な業務区分 所管省庁
介護 × 135,000人 身体介護、支援業務 厚生労働省
ビルクリーニング 37,000人 建築物内部の清掃 厚生労働省
工業製品製造業 173,300人 機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、食料品製造、繊維・衣服、印刷・製本・紙器、プラスチック成形、塗装、溶接、鋳造、仕上げ、ダイカスト、鍛造、めっき等 経済産業省
建設 80,000人 土木、建築、ライフライン・設備 国土交通省
造船・舶用工業 36,000人 溶接、塗装、仕上げ、機械加工、鉄工、電気機器組立て 国土交通省
自動車整備 10,000人 自動車の日常点検整備・定期点検整備・分解整備 国土交通省
航空 7,400人 空港グランドハンドリング、航空機整備 国土交通省
宿泊 23,000人 フロント、企画・広報、接客、レストランサービス 国土交通省
農業 78,000人 耕種農業全般、畜産農業全般 農林水産省
漁業 17,000人 漁業、養殖業 農林水産省
飲食料品製造業 139,000人 飲食料品の製造・加工、安全衛生 農林水産省
外食業 53,000人 飲食物調理、接客、店舗管理 農林水産省
自動車運送業 24,500人 トラック運転、タクシー運転、バス運転 国土交通省
鉄道 3,800人 軌道整備、電気設備整備、車両整備、駅務 国土交通省
林業 1,000人 育林、素材生産等 農林水産省
木材産業 5,000人 製材、合板製造等 農林水産省

出典 出入国在留管理庁「特定技能制度について」

上記の受入れ見込み数は分野ごとの「上限」であり、実際の受入れ人数がこの数値に達するとは限りません。また、介護分野のみ特定技能2号の対象外となっている点は、実務上よく質問される論点です(介護分野は「介護福祉士」の国家資格取得による在留資格「介護」への移行ルートが用意されているため、2号が設けられていません)。

特定技能1号と2号の違いを簡単に整理しておきます。1号は在留期間が通算5年まで、家族の帯同は原則不可です。一方、2号は在留期間の更新に上限がなく、配偶者や子の帯同も認められます。2号に移行するためには、分野ごとに定められた技能試験(より高度な内容)に合格する必要があります。企業が長期的に外国人材を確保したい場合は、2号への移行を視野に入れた採用計画が重要になります。

各分野で従事できる業務区分は細かく限定されている

特定技能ビザは「分野」だけでなく、その中の「業務区分」単位で従事可能な業務が限定されています。たとえば工業製品製造業分野で「機械金属加工」の業務区分で在留資格を取得した外国人は、同じ工業製品製造業分野であっても「電気電子機器組立て」の業務に従事することはできません。

申請の現場では、この業務区分の制限を十分に理解していない企業が多いのが実情です。「製造業なら何でもやらせていい」という認識のまま受入れを進め、後から問題になるケースを私も何度か見てきました。在留資格の申請時に指定された業務区分以外の作業をさせることは、企業側にとって深刻なリスクになります。

なお、2024年の制度改正で「工業製品製造業」に統合された旧3分野(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)については、統合後も業務区分自体は細分化されたまま残っています。統合によって業務区分の制限が緩和されたわけではない点に注意してください。

業務区分がどこまで細分化されているかは分野によって大きく異なります。たとえば工業製品製造業は業務区分が非常に多く、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理など十数区分に分かれています。一方、ビルクリーニングは「建築物内部の清掃」という単一の業務区分のみです。受入れを検討する際は、自社で任せたい業務がどの業務区分に該当するかを事前に特定しておくことが不可欠です。

業務区分外の作業をさせると不法就労に該当する

在留資格で認められた業務区分以外の作業に従事させた場合、当該外国人は資格外活動に該当し、不法就労となるリスクがあります。企業側も入管法第73条の2に基づく「不法就労助長罪」に問われる可能性があり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

業務区分外の作業をさせていた事実が入管の調査で発覚すると、受入れ企業は今後の特定技能外国人の受入れが認められなくなる可能性があります。「少しだけなら大丈夫だろう」という安易な判断は絶対に避けてください。

実務上は、主たる業務に付随する作業(清掃や片付け等)は「関連業務」として一定の範囲で認められています。ただし、関連業務が主たる業務の時間を上回るような運用は認められません。どこまでが関連業務として許容されるかは分野ごとの運用要領に定められているため、判断に迷う場合は所管省庁の運用要領を確認するか、行政書士等の専門家に相談することを推奨します。

分野の追加・拡大は閣議決定で随時行われる

特定技能の対象分野は法律で固定されているわけではなく、閣議決定によって随時追加・変更が可能な仕組みになっています。具体的には「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」および「分野別運用方針」を閣議決定で改定することで、分野の追加や受入れ見込み数の変更が行われます。

追加の判断基準は、当該産業分野において「生産性向上や国内人材確保の取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある」ことです。具体的には、有効求人倍率や離職率、業界団体からの要望等を総合的に勘案して判断されます。つまり、単に「人手が足りない」というだけでは追加されず、業界全体としてあらゆる手段を尽くしても不足が解消されないことを客観的に示す必要があるのです。

分野の追加だけでなく、既存分野の業務区分の拡大も閣議決定によって行われます。実際に2024年の見直しでは、建設分野で従来の業務区分が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編され、対象業務の範囲が広がりました。このような業務区分レベルの変更は、分野の新規追加ほど大きく報道されないため、見落としがちです。私のところにも「知らないうちに自社の業務が対象になっていた」という企業が相談に来ることがあります。

2024年以降に追加・拡大された分野の動向

2024年3月29日の閣議決定は、制度創設以来最大規模の見直しとなりました。主な変更点は以下の通りです。

  • 「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が新規追加
  • 「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」が「工業製品製造業」に名称変更・統合
  • 特定技能2号の対象が介護を除く全分野に拡大(従来は建設・造船の2分野のみ)
  • 受入れ見込み数の総数が5年間で82万人に大幅増加

特に2号の対象拡大は大きな転換点です。2号は在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同も可能なため、事実上の永住ルートとなり得ます。申請の現場では、2号への移行を見据えた長期的な人材確保戦略を立てる企業が増えてきています。

今後もさらなる分野の追加が議論されています。報道ベースではコンビニエンスストアや運送業の対象拡大などが取り沙汰されていますが、実際に閣議決定に至るかは未定です。「追加されそうだから今のうちに準備を」という判断は時期尚早であり、正式決定を待ってから具体的な準備に入るべきです。ただし、自社の業界で追加が議論されている場合は、業界団体の動向を注視しつつ、社内の受入れ体制(住居の確保、支援計画の策定、日本語教育の検討など)を事前に整えておくことは有効です。正式決定後にスムーズに申請へ進むための準備と、見切り発車は区別して考えてください。

受入れ見込み数は分野ごとに上限が設定されている

特定技能の受入れ見込み数は、分野ごとに5年間の上限が設定されており、この数値を超える受入れは原則として認められません。2024年度からの5年間では、全分野合計で約82万人という過去最大の見込み数が設定されています。

受入れ見込み数が最も多いのは工業製品製造業の173,300人で、次いで飲食料品製造業の139,000人、介護の135,000人と続きます。一方、林業は1,000人、鉄道は3,800人と比較的少数にとどまっています。

実務上、受入れ見込み数の上限に近づいている分野では、新規の受入れが制限される可能性があります。ただし、現時点で上限に達している分野はなく、多くの分野で見込み数に対する実際の受入れ人数には大きな余裕があります。企業としては「上限があるから早めに申請しなければ」と焦る必要は現段階ではありませんが、今後の受入れ動向には注意を払っておくべきです。

なお、受入れ見込み数は「上限」であると同時に「目標」でもあります。前回(2019年度〜2023年度)の5年間では、全分野合計の見込み数345,150人に対し、実際の受入れ人数はそれを下回る水準でした。見込み数が大幅に増加した今期も、試験の受験者数や送出し国の状況によっては、実際の受入れが見込みに届かない可能性は十分にあります。

受入れ見込み数は、企業単位の受入れ上限とは異なります。個々の企業が何人まで受入れできるかは、分野ごとの基準(たとえば建設分野では常勤職員の総数が上限)や、企業の規模・体制によって決まります。「分野全体の見込み数に余裕があるから自社でも大量に受入れできる」というわけではない点に注意してください。

分野選びで企業が注意すべきポイントは「業務区分の一致」

特定技能の受入れを検討する企業がまず確認すべきは、自社の事業が対象分野に該当し、かつ外国人に従事させたい業務が業務区分に合致しているかという点です。分野名だけを見て「うちは製造業だから対象だろう」と判断するのは危険です。

具体的な確認手順は以下の通りです。

  • 自社の日本標準産業分類上の業種コードが、対象分野の受入れ対象に含まれているか確認する
  • 外国人に従事させたい具体的な業務が、分野別運用方針に定められた業務区分に該当するか確認する
  • 分野ごとに求められる協議会への加入や、受入れ機関としての要件を満たしているか確認する
  • 該当する分野の特定技能評価試験の実施状況と合格率を確認する

特に注意すべきなのは、同じ業界でも事業所の業態によって対象になるケースとならないケースがある点です。たとえば飲食料品製造業は対象ですが、単なる飲食料品の小分け・包装のみを行う事業所は対象外となる場合があります。また、外食業と飲食料品製造業は似て見えますが別分野であり、求められる試験も異なります。「うちは食品関係だから」と大まかに捉えるのではなく、自社の業態がどちらの分野に該当するかを正確に把握する必要があります。

さらに見落とされがちなのが、分野ごとの協議会への加入義務です。特定技能外国人を受入れる企業は、原則として所管省庁が設置する協議会に加入しなければなりません。加入手続きの時期や方法は分野によって異なり、申請前に加入が必要な分野と、受入れ後に加入すればよい分野があります。協議会への加入が遅れたことが原因で申請に支障をきたすケースも実務上は見られます。

自社の業務が対象分野に該当するか判断が難しいケースの対処法

申請の現場では、「自社の業務が対象分野に該当するか分からない」という相談が非常に多いです。特に製造業は業務内容が多岐にわたるため、業務区分との一致が判断しにくいケースが少なくありません。

判断が難しい場合の対処法は以下の通りです。

  • 所管省庁が公表している分野別運用方針と運用要領を精読する
  • 分野ごとの協議会や業界団体に問い合わせる
  • 地方出入国在留管理局の相談窓口に事前相談を行う
  • 入管業務に精通した行政書士に相談する

私が対応してきたケースでは、企業が独自に「対象外」と判断していた業務が、運用要領を丁寧に読み解くと実は対象だったというケースがあります。逆に「対象だろう」と思い込んで申請した結果、業務区分の不一致で不許可になったケースもあります。自己判断で進めるリスクを考えると、専門家への事前相談をお勧めします。

また、技能実習から特定技能への移行を検討している場合は、技能実習の職種・作業と特定技能の分野・業務区分の対応関係も確認が必要です。技能実習で従事していた作業が特定技能のどの業務区分に該当するかは、入管庁が公表している対応表で確認できます。ただし、すべての技能実習の職種が特定技能に移行できるわけではありません。対応関係がない場合は、特定技能評価試験に合格する必要があるため、移行のスケジュールに余裕を持たせることが大切です。


最後に

特定技能の対象分野は16分野に拡大し、受入れ見込み数も大幅に増加しています。制度としては間口が広がった一方で、業務区分の細分化・協議会への加入義務・分野ごとの固有要件など、申請の際に確認すべきポイントはむしろ増えています。分野選定を誤ったまま申請を進めると不許可となり、採用計画が大幅に狂うリスクがあります。

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