育成就労制度とは?技能実習に代わる新制度の内容・開始時期・変更点を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 育成就労制度とは何か・いつ始まるのか知りたい
  • 技能実習制度との違い・変更点を知りたい
  • 企業として育成就労制度にどう対応すべきか知りたい

育成就労制度とは、技能実習制度を廃止して新たに創設される外国人材の育成・確保のための制度です。2024年6月に関連法案が成立し、2027年度の施行が見込まれています。技能実習制度で長年問題とされてきた「転籍(転職)禁止」「国際貢献の建前と人手不足対策の実態の乖離」を正面から解消し、外国人が日本でキャリアを積み上げられる仕組みへと再設計されました。この記事では、育成就労制度の全体像、技能実習との違い、転籍の条件、開始時期、就労選択支援の仕組み、企業が今から準備すべきことまで、実務の視点から解説します。

育成就労制度は技能実習制度に代わる外国人材育成の新制度

育成就労制度は、人材育成と人材確保を正面から目的に掲げた、技能実習制度に代わる新しい在留資格制度です。政府の有識者会議「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が2023年11月に最終報告書を取りまとめ、技能実習制度の廃止と新制度の創設を提言しました(出典 出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」)。

技能実習制度は1993年の創設以来、「発展途上国への技術移転による国際貢献」を目的として運用されてきました。しかし実態としては、人手不足に悩む中小企業の労働力確保手段として機能してきたことは周知の事実です。この建前と実態の乖離が、実習生に対する人権侵害や失踪問題の温床となっていました。

育成就労制度では、この矛盾を解消するために「人材育成」と「人材確保」の両方を制度の目的として明確に位置づけています。つまり、外国人材を「実習生」ではなく「育成対象の労働者」として正面から受け入れる制度に転換したわけです。

(実務上、技能実習制度の「国際貢献」という建前は書類上のフィクションに過ぎませんでした。育成就労制度への移行により、ようやく制度の目的と現場の実態が一致することになります。これは30年越しの制度設計の転換であり、外国人受入れの歴史においても極めて大きな節目です)

背景として押さえておきたいのは、技能実習制度をめぐる国内外からの批判の深刻さです。実習生に対する賃金未払い、長時間労働、パスポートの取り上げ、暴力といった人権侵害事案が繰り返し報道され、米国国務省の人身取引報告書でも日本の技能実習制度は問題事例として指摘されてきました。2023年の有識者会議では、こうした構造的問題を解決するには「現行制度の修正」ではなく「制度の廃止と新設」が必要であるとの結論に至りました。

育成就労制度の基本的な枠組みは以下の通りです。

  • 在留期間は原則三年で、この間に特定技能1号の水準まで技能を育成する
  • 対象分野は特定技能制度の分野と整合させる
  • 一定の条件を満たせば本人の意思による転籍(転職)が可能
  • 受入れ機関には育成計画の策定と適正な実施が求められる
  • 監理団体は「監理支援機関」に名称変更し、要件が厳格化される

育成就労制度の最大の意義は、育成就労から特定技能1号、さらに特定技能2号へという一貫したキャリアパスが制度として確立される点にあります。技能実習では帰国が前提とされていたのに対し、育成就労制度では日本で段階的にスキルアップしながら長期就労する道筋が明確になりました。

育成就労制度と技能実習制度の違いを項目別に比較する

育成就労制度と技能実習制度は、目的から運用の仕組みまであらゆる面で異なります。両制度の違いを正確に把握しておくことが、新制度への移行準備の第一歩です。以下の表で主要な項目を比較します。

比較項目 技能実習制度 育成就労制度
目的 技能移転による国際貢献 人材育成と人材確保
在留期間 最長五年(1号一年、2号二年、3号二年) 原則三年
転籍(転職) 原則不可(やむを得ない事情がある場合のみ例外的に認容) 同一分野内で一定条件を満たせば本人意思で可能
対象分野 九十職種百六十五作業(技能実習固有の区分) 特定技能の対象分野と整合
技能水準 段階ごとの技能検定合格が移行要件 三年間で特定技能1号の水準に到達することを目標
日本語要件 入国時の要件は原則なし(介護を除く) 就労開始前にA1相当(日本語能力試験N5等)以上、就労開始後もレベルアップが求められる
家族帯同 認められない 育成就労期間中は認められない(特定技能2号移行後に可能)
監理の仕組み 監理団体が監査・指導を実施 監理支援機関(名称変更)に改組し、要件を厳格化。独立性の確保が求められる
キャリアパス 帰国が前提(特定技能への移行は制度上の接続ルート) 育成就労→特定技能1号→特定技能2号の一貫したキャリアパスを制度として設計

表を見れば明らかな通り、育成就労制度は技能実習の「マイナーチェンジ」ではなく、設計思想からして根本的に異なる新制度です。特に注目すべきは、対象分野が特定技能と整合される点です。技能実習制度では独自の職種・作業区分が設けられており、特定技能との対応関係が複雑でした。育成就労制度では、最初から特定技能への移行を前提として分野設定が行われるため、キャリアパスの設計がはるかにシンプルになります。

(正直なところ、技能実習の職種区分と特定技能の分野区分の対応表は実務家泣かせでした。「この技能実習の作業は特定技能のどの分野に対応するのか」という確認作業が不要になるだけでも、新制度への移行には実務上のメリットがあります)

在留期間についても違いがあります。技能実習は1号・2号・3号の段階制で最長五年でしたが、育成就労制度では原則三年に統一されます。ただし、この三年は「特定技能1号に到達するまでの育成期間」と位置づけられており、その後は特定技能1号で最長五年、さらに特定技能2号で無期限と、長期在留の道筋がより明確に示されています。

日本語要件の変更も見逃せません。技能実習制度では入国時の日本語要件が原則として設けられていませんでしたが(介護分野を除く)、育成就労制度では就労開始前にA1相当(日本語能力試験N5等)の日本語能力が求められます。さらに、育成就労期間中にA2相当(日本語能力試験N4等)への到達が努力義務として設定される方向です。これは、日本語能力の不足がコミュニケーション上のトラブルや労働災害の原因となってきた現状を踏まえた対応です。受入れ企業としても、来日後の日本語学習を支援する体制を整えることが実質的に必須になります。

育成就労制度の最大の変更点は「転籍(転職)」が一定条件で認められること

育成就労制度の導入にあたり、最も議論を呼んだのが「転籍」の取り扱いです。技能実習制度では原則として転籍が認められず、実習先の変更はやむを得ない事情(倒産、暴行、賃金未払い等)がある場合に限られていました。この転籍制限が、劣悪な労働環境からの逃げ場を失わせ、失踪の原因となってきたことは多くの調査で指摘されています。

育成就労制度では、本人の意思による転籍(転職)が一定の条件のもとで認められることになりました。これは外国人材の権利保護という観点で画期的な変更です。ただし、無条件に転籍が認められるわけではなく、制度の趣旨である「人材育成」との両立を図るための条件が設けられています。

転籍が認められる条件は「同一分野で一定期間就労」かつ「技能・日本語の基準を満たす」場合

本人の意思による転籍が認められるための要件は、以下の通りです(出典 出入国在留管理庁「育成就労制度の創設等について」)。

  • 同一の受入れ機関で一定期間(一年から二年の範囲で分野ごとに設定)以上就労していること
  • 技能検定試験基礎級等または特定技能1号評価試験に合格していること
  • 日本語能力がA1相当(日本語能力試験N5等)以上であること
  • 転籍先が同一の育成就労分野であること

つまり、入国直後から自由に転職できるわけではなく、一定の就労期間を経て基礎的な技能と日本語能力を身につけた段階で、初めて転籍の選択肢が開かれるという仕組みです。この設計は、受入れ企業が育成にかけたコストの一定の回収期間を保障するとともに、外国人材が十分な判断力を持った状態で転籍を決断できるようにするための配慮でもあります。

転籍時には、ハローワーク等の公的機関の関与のもとで転籍先のマッチングが行われる見込みです。民間のブローカーによる引き抜きや不当な仲介を防止するため、転籍のプロセスには公的な関与が組み込まれています。転籍先の受入れ機関にも育成就労計画の認定が必要となるため、転籍先が適正な受入れ体制を備えていることが制度的に担保される仕組みです。

なお、やむを得ない事情(受入れ機関の倒産、暴行・脅迫、賃金の不払い等)による転籍は、上記の要件を満たさなくても従来通り認められます。この点は技能実習制度と同様ですが、育成就労制度ではやむを得ない事情の範囲がより明確化される方向で検討が進んでいます。

(企業側からすれば「せっかく育成した人材に転職されては困る」という懸念は当然あるでしょう。しかし実務上、転籍を防ぐ最も確実な方法は、適正な賃金と良好な職場環境の提供です。現行の技能実習制度でも、処遇の良い受入れ先からの失踪はほとんど発生していません。転籍の自由化を「リスク」ではなく「自社の受入れ体制を見直す契機」と捉えるべきです)

転籍制限を設ける経過措置と地方への配慮

育成就労制度における転籍の自由化に対しては、地方からの人材流出を懸念する声が根強くあります。都市部の企業の方が賃金水準が高い傾向があるため、転籍が無制限に認められると地方から都市部への人材集中が加速するのではないかという指摘です。

この懸念に対応するため、以下のような措置が検討されています。

  • 転籍の要件となる就労期間を分野ごとに設定し、当面は最長二年間の就労を求める
  • 制度開始から一定期間は経過措置として転籍要件を厳格に運用する
  • 地域における人材確保の状況を踏まえた受入れ見込み数の設定
  • 大都市圏への過度な集中を抑制するための措置を検討する

経過措置の具体的な内容は今後の政省令で定められる予定ですが、制度施行直後は転籍要件がやや厳しめに設定される可能性が高いと見られています。分野によっては就労期間の要件が二年とされることも想定されるため、実質的に育成期間の大半を最初の受入れ機関で過ごすことになるケースもあるでしょう。

(地方への配慮は政治的に極めて重要なテーマです。ただし、転籍制限を厳しくしすぎると、技能実習制度と同じ問題が再び発生するリスクがあります。今後の政省令の内容が制度の実効性を左右するため、注視が必要です)

育成就労制度の開始時期は二〇二七年度が見込まれている

育成就労制度に関する入管法等の改正法は2024年6月に成立しました。施行期日は公布の日から起算して三年以内の政令で定める日とされており、2027年度中の施行が見込まれています(出典 出入国在留管理庁「育成就労制度の創設等について」)。

なぜ成立から施行まで三年もの猶予期間があるのかといえば、新制度の運用に向けた膨大な準備作業が必要だからです。対象分野ごとの受入れ見込み数の設定、育成計画の認定基準の策定、監理支援機関の要件の整備、就労選択支援事業の制度設計など、詰めるべき事項は多岐にわたります。

技能実習からの移行スケジュールと経過措置

制度施行時点で既に技能実習生として在留している外国人については、経過措置が設けられます。現時点で明らかになっている方針は以下の通りです。

  • 施行日時点で在留中の技能実習生は、そのまま技能実習の在留資格で残りの期間を過ごすことが可能
  • 技能実習2号修了後に特定技能1号へ移行するルートは引き続き有効
  • 新規の技能実習計画の認定申請は施行日以降は受け付けられず、育成就労計画に切り替わる
  • 監理団体から監理支援機関への移行に関しても経過措置が設けられる見込み

(実務上、最も混乱が予想されるのは「施行日の直前に入国した技能実習生」の取り扱いです。2027年の施行日ぎりぎりで技能実習の在留資格で入国し、その後の在留期間中に新制度が始まるケースが大量に発生するはずです。経過措置の詳細が固まるまでは、施行日前後の受入れスケジュールを慎重に組む必要があります)

企業が注意すべきは、経過措置があるとはいえ「現行制度のままでよい」という考えは危険だということです。新規受入れは施行後すみやかに育成就労制度に切り替わります。受入れ体制、育成計画の策定、監理支援機関との連携など、新制度への対応準備は今から始めても早すぎることはありません。

送出し国側の対応にも目を配る必要があります。技能実習制度では二国間取決め(MOC)に基づき送出し機関が認定されていましたが、育成就労制度でも同様の枠組みが維持される見込みです。ただし、送出し機関に対する規制が強化され、外国人材が来日前に負担する手数料の適正化が図られます。従来、送出し機関への手数料が過大で、外国人材が多額の借金を抱えて来日するケースが問題視されていましたが、新制度ではこの負担を軽減する方向で制度設計が進められています。受入れ企業としても、送出し機関の選定にあたってはコスト構造の透明性を確認することが求められます。

「就労選択支援」は育成就労から特定技能への円滑な移行を支援する仕組み

育成就労制度と併せて創設されるのが「就労選択支援」事業です。就労選択支援とは、育成就労の期間を修了した外国人が特定技能1号へ円滑に移行できるよう、本人の希望や適性を踏まえたキャリア相談や情報提供を行う仕組みです。

技能実習制度では、実習修了後の進路が実質的に受入れ企業や監理団体の意向に左右されるケースが少なくありませんでした。外国人自身が十分な情報を持たないまま、特定技能への移行先を決めざるを得ない状況も散見されました。就労選択支援は、この情報の非対称性を解消し、外国人材が自らの意思で適切なキャリア選択ができるようにするための制度です。

就労選択支援事業の主な内容は以下の通りです。

  • 育成就労修了者に対する受入れ先や就労条件に関する情報提供
  • 本人の技能水準や日本語能力に基づくキャリア相談
  • ハローワーク等の公的機関と連携した職業紹介
  • 転籍を希望する場合のマッチング支援

就労選択支援事業の実施主体や具体的な運用方法は今後の政省令で定められる予定です。「就労選択支援はいつから始まるのか」という質問をよく受けますが、育成就労制度と同じく2027年度の施行が見込まれています。施行後、実際に就労選択支援を利用する外国人が出てくるのは、育成就労の在留期間が一定程度経過した後になるため、本格的な運用開始は施行から一年以上先になると考えられます。

就労選択支援は、転籍の自由化と密接に関連する仕組みでもあります。転籍を希望する外国人が適切な情報をもとに次の受入れ先を選べるよう、就労選択支援の相談窓口が転籍プロセスの入口として機能することが想定されています。受入れ企業としても、就労選択支援事業の枠組みを理解しておくことは、外国人材の定着策を考える上で欠かせません。

(就労選択支援の仕組みは、外国人の権利保護の観点では重要な制度ですが、実効性は運用次第です。相談窓口の多言語対応、相談員の質、情報提供の中立性がきちんと担保されなければ、形骸化する恐れがあります。制度の理念は素晴らしいので、運用面での充実を期待したいところです)

受入れ企業は新制度への移行準備を今から始めるべき

2027年度の施行まではまだ時間があるように思えますが、新制度に対応するための準備は今から着手すべきです。施行直前に慌てて対応を始めても間に合わない可能性が高いためです。

特に以下の点について、早い段階から情報収集と準備を進めることをお勧めします。

  • 自社の受入れ分野が育成就労制度の対象分野に該当するかの確認
  • 育成就労計画の策定に向けた自社の育成体制の整備
  • 転籍が認められることを前提とした人材定着策の検討
  • 現在利用している監理団体が監理支援機関の要件を満たせるかの確認
  • 外国人材の賃金水準が地域や業種の相場と比較して適正かの見直し

転籍が認められる新制度のもとでは、「外国人材に選ばれる企業」でなければ人材を確保できなくなります。技能実習制度では、実習生が事実上その企業に「縛られている」状態でしたが、育成就労制度ではそうはいきません。賃金、福利厚生、住環境、教育体制、職場の人間関係など、あらゆる面で魅力ある職場づくりが求められます。

(厳しい言い方になりますが、「安い労働力として外国人を使う」という発想の企業は、新制度のもとでは人材を確保できなくなるでしょう。実務上、処遇の良い企業には応募者が集まり、そうでない企業には来ない。これは日本人の採用と同じです。育成就労制度はその当たり前の原理を外国人受入れにも適用するものです)

育成就労制度で変わる監理支援機関の役割

技能実習制度における「監理団体」は、育成就労制度では「監理支援機関」に改組され、その要件と役割が大幅に見直されます。名称変更だけでなく、制度の中での位置づけ自体が変わる点に注意が必要です。

主な変更点は以下の通りです。

項目 監理団体(現行) 監理支援機関(新制度)
許可の種類 特定監理事業と一般監理事業の二種類 一本化される方向で検討
受入れ機関からの独立性 明確な規定が不十分 役員構成等で受入れ機関からの独立性を確保することが求められる
外部監査 外部監査人による監査 外部監査の仕組みを強化
転籍支援 転籍自体が原則不可のため支援の役割なし 転籍希望者への情報提供や支援が求められる

特に重要なのは、監理支援機関の受入れ機関からの「独立性」が明確に求められる点です。現行制度では、監理団体が受入れ企業の影響下に置かれ、実習生の保護よりも企業の利益を優先するケースが問題視されてきました。新制度では、監理支援機関の役員に受入れ機関の関係者が一定割合以上含まれることを制限するなど、独立性を担保する仕組みが導入される予定です。

また、監理支援機関には外国人材の転籍支援という新たな役割が加わります。転籍を希望する外国人に対して、中立的な立場から情報提供やマッチング支援を行うことが求められます。従来の監理団体は「企業側の代理人」的な性格が強かったのに対し、監理支援機関は「外国人材と企業の間に立つ中立的な存在」としての機能が期待されています。

(現行の監理団体の中には、新制度の要件を満たせずに廃業を余儀なくされるところも出てくるでしょう。逆に言えば、適正な運営をしてきた監理団体にとっては、競合が整理されるチャンスでもあります。受入れ企業としては、現在利用している監理団体が新制度に対応できるかどうか、今のうちに確認しておくことが重要です)

企業が新制度に備えて確認すべきポイント

ここまでの内容を踏まえ、受入れ企業が2027年度の施行に向けて具体的に確認・準備すべき事項を整理します。

確認事項 具体的なアクション
対象分野の確認 自社の業務が育成就労制度の対象分野に含まれるかを確認する。特定技能の対象分野と整合されるため、現在の特定技能の分野一覧を参考にする
育成計画の準備 三年間の育成計画を策定できる体制を整える。OJTの内容、指導員の配置、評価基準の設計が必要
賃金水準の見直し 転籍が認められることを前提に、同業他社や地域の賃金相場と自社の水準を比較する
監理支援機関の選定 現在の監理団体が新制度の要件を満たせるか確認する。満たせない場合は早めに別の機関を探す
日本語教育の体制 外国人材に対する日本語教育の環境を整備する。日本語要件が入国時から課されるため、来日後の継続的な学習支援も重要
住環境・生活支援 社宅や寮の整備、生活オリエンテーションの充実など、外国人材が安心して働ける環境を整える
社内の受入れ体制 現場の日本人従業員に対する異文化理解の研修、ハラスメント防止策の強化

(「まだ2027年だから大丈夫」と考えている企業が多いですが、実務上、受入れ体制の整備には時間がかかります。育成計画の策定一つとっても、現場の業務分析、指導マニュアルの作成、評価基準の設定といった作業が必要です。また、現在技能実習生を受け入れている企業は、在留中の実習生の経過措置対応も並行して進める必要があります)

特に中小企業にとっては、育成計画の策定が最大のハードルになると予想されます。技能実習制度でも技能実習計画の作成は義務でしたが、実態としては監理団体がひな型を用意してそれに沿って作成するケースが大半でした。育成就労制度では、三年間で特定技能1号の水準に到達させるという明確な目標が設定されるため、育成計画の内容もより具体的で実効性のあるものが求められます。自社だけで対応が難しい場合は、監理支援機関や行政書士に早めに相談することをお勧めします。

育成就労制度の対象分野や運用基準の詳細は、今後の政省令や告示で順次明らかになります。現時点の情報だけで判断を確定させるのではなく、出入国在留管理庁や厚生労働省の発表を継続的にフォローしてください。特に受入れ見込み数や転籍要件の就労期間など、分野ごとに異なる可能性がある事項については、自社の分野に関する最新情報を必ず確認することが重要です。


最後に

育成就労制度は、技能実習制度の抜本的な見直しとして創設される新しい外国人材受入れの枠組みです。「人材育成」と「人材確保」を正面から掲げ、転籍の容認、特定技能への一貫したキャリアパスの設計、監理支援機関の独立性確保など、従来の制度の問題点を解消するための仕組みが随所に盛り込まれています。2027年度の施行まで時間があるとはいえ、対象分野の確認、育成計画の準備、賃金水準の見直し、監理支援機関の選定など、やるべきことは少なくありません。新制度への移行を円滑に進めるためには、今から準備を始めることが重要です。

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