在留カードをなくしたとき、最も重要なのは「気づいた日から14日以内に地方出入国在留管理局へ再交付を申請する」という一点です。この期限を過ぎると罰則の対象になります。そしてもう一つ、多くの方が知らないのが「入管に行く前に警察へ行く」という順番です。この記事では、紛失・盗難・災害による滅失、さらに汚損やICチップ不良による交換まで、在留カードを失った場合の手続きを実務の流れに沿って解説します。
目次
在留カードの紛失に気づいたら14日以内に再交付申請をする
中長期在留者が紛失、盗難、滅失その他の事由により在留カードの所持を失った場合、その事実を知った日から14日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で再交付申請を行う義務があります。これは任意の手続きではなく、入管法上の義務です(出典 出入国在留管理庁「紛失等による在留カードの再交付申請」)。
「なくしたかもしれないが、どこかから出てくるかもしれないので少し待つ」という判断をされる方がいますが、実務上これが最も危険です。14日という期間は思っている以上に短く、警察への届出、写真の準備、入管の窓口予約まで含めると、実質的に動ける日数は1週間程度しかありません。
そもそも在留カードは何のための証明書なのかという基本から確認したい方は、在留カードの見方や記載内容を解説した記事もあわせてご覧ください。
起算日は「なくした日」ではなく「なくしたと気づいた日」
14日のカウントは、カードを落とした日ではなく、所持を失った事実を知った日から始まります。たとえば10月1日に財布ごと落とし、10月5日に気づいた場合、期限は10月19日です。
また、日本から出国している間に紛失に気づいた場合は、その後最初に日本に入国した日から14日以内が期限となります。海外旅行中に盗難に遭った方は、帰国日を起点に考えてください。
(実務上、「気づいた日」を証明する書類は求められません。ただし警察の遺失届の日付や盗難届の日付が事実上の起算点として扱われるため、届出をずるずる先延ばしにするほど、入管側から見て「遅れている」印象が強くなります)
期限を過ぎると1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金の対象になる
在留カードに関する各種の申請義務違反には、入管法で罰則が定められています。出入国在留管理庁は、汚損等により再交付申請命令を受けた場合について「期間内に申請をしなかった場合、1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処せられることがあります」と明記しています(出典 出入国在留管理庁「新しい在留管理制度に関するQ&A」)。紛失による再交付申請を怠った場合も、同様に罰則の対象です。
実際に罰金まで科されるケースは多くありませんが、問題はそこではありません。在留期間更新や永住申請の場面で「素行が善良であること」「入管法上の義務を履行していること」が審査されるとき、届出義務違反の履歴はマイナス材料になり得ます。特に永住許可申請では公的義務の履行状況が重視されるため、数か月放置していた事実が申請の足を引っ張ることは十分にあります。
14日を過ぎてしまった場合でも、申請しないという選択肢はありません。遅れた理由を説明する書面を添えて、できるだけ早く申請してください。放置期間が長いほど状況は悪化します。
入管へ行く前に警察で遺失届・盗難届の受理番号を取得する
再交付申請でつまずく人が最も多いのがここです。入管の窓口にいきなり行っても、紛失・盗難の場合は警察の届出受理番号がなければ申請書を完成させられません。再交付申請書に添付する「陳述書」に、警察署または交番で発行される受理番号を記載する欄があるためです。
順番を整理すると、次のようになります。
- 紛失に気づく
- 最寄りの警察署または交番で遺失届(盗難なら盗難届)を提出し、受理番号を控える
- 写真を用意し、再交付申請書と陳述書を作成する
- 住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請する
- 新しい在留カードを受け取る
紛失は遺失届、盗難は盗難届と、届出の種類が変わる
自分でなくした場合は遺失届、他人に盗まれた場合は盗難届です。どちらも警察署の会計課や交番で受け付けており、その場で受理番号が発行されます。所要時間は10分から30分程度です。
電話での届出でも受理番号は発行されますが、実務上は窓口で書面のやり取りをしたほうが確実です。受理番号は数字とアルファベットの組み合わせで、控えを渡されない場合もあるため、その場でメモを取ってください。
(申請の現場では、「警察に行ったが受理番号を聞き忘れた」というご相談が一定数あります。届出をした警察署に電話すれば教えてもらえますが、二度手間になるので最初に必ず確認してください)
火災・水害で滅失した場合はり災証明書を用意する
火事や水害で在留カードが失われた場合は、警察の届出ではなく、消防署や市区町村が発行するり災証明書が必要書類になります。この場合は陳述書に代えて、り災証明書等を提出します。
り災証明書の発行には数日から1週間程度かかることがあります。14日の期限に間に合わないおそれがあるときは、証明書の申請中である旨を入管に伝え、先に相談しておくのが実務的な対応です。
再交付申請の必要書類は申請書・写真・陳述書・旅券の4点が基本
紛失等による在留カードの再交付申請で必要になるものは、次のとおりです。
| 必要なもの | 内容と注意点 |
|---|---|
| 在留カード再交付申請書 | 出入国在留管理庁のサイトから様式をダウンロードできる。窓口にも備え付けあり |
| 写真1葉 | 縦4センチ×横3センチ。申請時に16歳未満の場合は不要(1歳未満も不要) |
| 陳述書 | 紛失・盗難の状況を記載し、警察の届出受理番号を記入する。り災の場合はり災証明書等 |
| 旅券(パスポート) | 提示のみ。旅券を持っていない場合は在留資格証明書を提示 |
| 漢字氏名併記の申出書 | 従前のカードに漢字氏名を併記していた場合や、新たに希望する場合に提出 |
旅券も在留カードも同時に紛失したというケースは実務でしばしばあります。この場合は先に本国の大使館・領事館で旅券の再発行手続きを進めつつ、入管には旅券が手元にない事情を説明して申請します。旅券がないことを理由に14日を過ぎてよいわけではないため、事情説明を添えて期限内に申請することが重要です。
写真は縦4センチ×横3センチ・6か月以内の撮影が規格
写真の規格は入管が細かく定めており、規格外だと窓口でやり直しになります。出入国在留管理庁が示す主な要件は次のとおりです(出典 出入国在留管理庁「提出写真の規格」)。
- サイズは縦4センチメートル、横3センチメートル
- 提出の日前6か月以内に撮影されたもの
- 申請人本人のみが無帽で正面を向いて写っている
- 背景(影を含む)がなく、白または薄い単色であること
- 鮮明で焦点が合っており、加工で目を大きくする・肌を白くするなどの修整をしていない
- 写真の裏面に氏名を記載する
証明写真機で撮影する場合は「在留カード用」または「マイナンバーカード・パスポート以外の証明写真」のサイズ設定を選び、4センチ×3センチになるよう指定してください。スマートフォンアプリで作った写真を家庭用プリンターで印刷したものは、画質不足で受け付けられないことがあります。
(実務上、写真で差し戻しになる原因の上位は「背景に影が写っている」「髪が顔にかかりすぎている」の2つです。自宅の白い壁の前で撮ると、ほぼ確実に影が入ります)
本人以外に親族・行政書士による代理申請も認められる
再交付申請は原則として本人が行いますが、16歳未満の方の場合は同居の親族が代理します。また、本人と同居する16歳以上の親族、地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士や行政書士(申請取次者)も申請できます。
仕事を休めない、日本語での説明に不安があるといった場合は、取次資格を持つ行政書士に依頼するのが確実です。代理人が申請する場合は委任状や身分関係を証する資料が追加で必要になります。
なお、在留カードの再交付申請そのものは、在留資格変更や期間更新のようなオンライン申請には対応していません。入管のオンライン申請が使えるのは在留資格に関する申請が中心で、カードの再交付は窓口での手続きになります。
紛失・盗難による再交付に手数料はかからない
費用面で誤解が多いところです。紛失、盗難、滅失を理由とする在留カードの再交付について、出入国在留管理庁は「手数料はかかりません」と明記しています。著しい毀損・汚損、ICチップの記録の毀損を理由とする再交付も同様に無料です(出典 出入国在留管理庁「汚損等による在留カードの再交付申請」)。
一方、カードが壊れていないのに本人の希望で交換する「交換希望による再交付」は有料で、手数料は1,900円です。収入印紙で納付します(出典 出入国在留管理庁「交換希望による在留カードの再交付申請」)。この金額は2025年4月1日の手数料改定後のもので、それ以前は1,600円でした(出典 出入国在留管理庁「在留手続等に関する手数料の改定」)。
| 再交付の理由 | 手数料 | 14日以内の申請義務 |
|---|---|---|
| 紛失・盗難・滅失 | 無料 | あり(事実を知った日から) |
| 著しい毀損・汚損・IC記録の毀損 | 無料 | 随時申請可。再交付申請命令を受けた場合は14日以内 |
| 本人の希望による交換 | 1,900円 | なし |
ネット上には「在留カードの再発行には数千円かかる」と書かれた情報が残っていますが、紛失・盗難であれば費用はゼロです。古い手数料額や、交換希望の金額と混同した記述が出回っているだけなので、公式サイトの記載を基準に判断してください。
再交付は原則即日交付、ただし確認が入ると後日になる
在留カードの再交付は、窓口で書類が受理されればその日のうちに新しいカードが交付されるのが原則です。実務上も、午前中に申請して昼過ぎに受け取るという流れが一般的です。
ただし、次のようなケースでは即日交付にならず、後日改めて受け取りに行くことになります。
- 陳述書の記載内容に確認が必要な場合
- 旅券が手元になく、身分確認に時間を要する場合
- 短期間に複数回紛失しており、事情の聴取が行われる場合
- 窓口の混雑が激しく、当日の交付枠が埋まっている場合
地方出入国在留管理官署の受付時間は平日の午前9時から12時、午後1時から4時までです。土日祝日は開いていません。即日交付を狙うなら、午前中の早い時間に行くのが鉄則です。(東京出入国在留管理局は特に混雑が激しく、午後に行くと当日交付が難しいことがあります)
再交付までの身分証明は「申請中である事実」で乗り切る
在留カードがない期間、身分証明をどうするかは切実な問題です。銀行口座の手続き、携帯電話の契約、アルバイト先への提示など、在留カードは日常生活のあらゆる場面で本人確認書類として使われています。
この期間の実務的な対応は次のとおりです。
- 旅券(パスポート)を本人確認書類として使う
- 警察で発行された遺失届・盗難届の受理番号の控えを提示する
- 勤務先には紛失の事実と再交付申請の予定を速やかに報告する
- 在留カードのコピーが手元にあれば、番号と有効期限の確認に使う
雇用主にとっても在留カードは就労資格を確認する唯一の公的証明です。従業員が紛失した場合、企業側は在留カード番号や有効期限を控えていないと就労資格の確認ができなくなります。不法就労助長のリスクを避けるためにも、企業は採用時点で在留カードの写しを保管しておくべきです。
なお、就労可否は在留カードの表面に記載されています。「就労不可」と書かれていても資格外活動許可があれば働ける場合があり、この許可の有無はカード裏面や旅券の証印で確認します。詳しくは在留カードが就労不可でも働ける条件を解説した記事を参照してください。
海外で紛失した場合は再入国の可否が最大の論点になる
日本を出国している間に在留カードを紛失した場合、最大の問題は「日本に戻れるかどうか」です。
みなし再入国許可は、出国時と再入国時に在留カードを提示することが前提の制度です。カードを失った状態では、この制度で日本に戻ることができません。旅券に再入国許可の証印を受けている場合でも、上陸審査で在留カードを提示できない事情の説明が必要になります。
実務上の対応は、まず日本の在外公館(大使館・領事館)に連絡し、状況を説明して指示を仰ぐことです。現地の警察で盗難・紛失の届出を行い、その証明を確保しておくことも重要になります。どのような取扱いになるかは、再入国許可の種類、在留資格、残りの在留期間、紛失の経緯によって変わるため、一律の答えはありません。
出入国在留管理庁が「本邦から出国している間に当該事実を知った場合は、その後最初に入国した日から14日以内」という起算点を定めているのは、無事に再入国できたケースを想定した規定です。裏を返せば、再入国できるかどうかは別の問題として処理されます。
(正直なところ、海外での在留カード紛失は最も対応が難しいパターンです。長期の一時帰国や出張の予定がある方は、カードを旅券とは別の場所に保管し、両方を同時に失わない工夫をしてください)
短期の出国で使えるみなし再入国許可の仕組みそのものについては、別記事で詳しく整理しています。
汚損・IC不良は「汚損等による再交付」で交換する
紛失していなくても、カードが物理的に傷んだ場合には交換が必要です。対象となるのは、在留カードが著しく毀損・汚損した場合、またはICチップの記録が毀損した場合です。
実務でよく見るのは次のようなケースです。
- ズボンのポケットに入れたまま洗濯してしまい、印字が消えかかっている
- 財布に入れていて折れ曲がり、ひび割れが生じている
- 券面は無事だが、空港の自動化ゲートや窓口の読取機でICが読み取れない
- 顔写真部分が擦れて判別しにくくなっている
これらの理由による再交付は手数料が無料で、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請します。必要書類は申請書、写真、旅券の提示に加えて、現に所持している在留カードの提示です。壊れたカードは必ず持参してください。
ICが読めないまま放置すると空港で足止めされる
券面の文字が読めるので問題ないと考え、IC不良を放置する方がいます。しかし在留カードのICチップは、券面の記載事項と同じ情報が記録されており、偽変造カードの見分けに使われています。読み取れない状態のカードは、空港の出入国審査や自治体の窓口で正規のカードとして扱われず、確認に時間がかかります。
(実務上、出国当日に自動化ゲートでカードが読み取れず、有人カウンターに回されて冷や汗をかいたという相談を受けたことがあります。搭乗時刻が迫っている状況では笑い事ではありません)
入管から再交付申請命令を受けたら14日以内の申請が必要
汚損・毀損の程度が著しい場合、入管から再交付申請を命じられることがあります。この命令を受けた場合は、命令の日から14日以内に申請しなければならず、怠ると1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金の対象となります。紛失の場合と同じ重さの義務だと考えてください。
なお、カードそのものの有効期間が切れる場合の手続きは再交付ではなく「有効期間更新申請」です。永住者は交付日から7年ごとの更新が必要で、この期限管理を忘れる方が非常に多い部分です。
在留カードの常時携帯義務に違反すると20万円以下の罰金
再交付を急ぐべき理由の一つが、この携帯義務です。中長期在留者は在留カードを常に携帯し、入国審査官、入国警備官、警察官等から提示を求められた場合には提示しなければなりません。
| 違反の内容 | 罰則 |
|---|---|
| 在留カードを携帯していない | 20万円以下の罰金 |
| 提示を求められて応じない | 1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金 |
この内容は出入国在留管理庁が公式に示しているものです(出典 出入国在留管理庁「旅券等の携帯(入管法第23条)」)。在留カードを携帯していれば旅券の携帯は不要ですが、逆に在留カードを持たずに旅券だけを持ち歩くことは携帯義務の履行になりません。
紛失中は物理的にカードを携帯できませんが、だからといって義務が消えるわけではありません。職務質問を受けた際に説明できるよう、警察の届出受理番号の控えと旅券を携帯しておくことが実務的な自衛策になります。
16歳未満は常時携帯義務が免除される
16歳未満の方については、在留カードの常時携帯義務が免除されています。ただしカード自体は交付されており、保護者が保管して必要なときに提示できるようにしておく必要があります。子どものカードを紛失した場合も、14日以内の再交付申請義務は同様に発生します。
また、特別永住者に交付されるのは在留カードではなく特別永住者証明書で、常時携帯義務は課されていません。永住者と特別永住者では制度が異なる点に注意してください。永住者のカードの扱いは永住者の在留カードについて解説した記事で整理しています。
紛失を繰り返さないための管理と、企業側が取るべき対応
再交付は何度でも申請できますが、短期間に何度も紛失していると、窓口で理由を詳しく聞かれることがあります。回数そのものが直ちに不利益になるわけではないものの、管理能力を疑われる材料にはなり得ます。
カードのコピーと番号の控えを別に保管しておく
最も簡単で効果のある対策は、在留カードの表裏をコピーして自宅に保管し、カード番号(アルファベット2文字と数字8桁、末尾アルファベット2文字)と有効期限をスマートフォンにも控えておくことです。紛失時の陳述書作成が格段に楽になります。
財布とは別に保管する習慣も有効です。財布ごと落とすと在留カード、キャッシュカード、健康保険証がまとめて失われ、再発行の手間が一気に膨らみます。
企業は在留カード番号と有効期限を台帳管理する
外国人を雇用している企業側の対応も重要です。従業員が在留カードを紛失した場合、企業は就労資格を確認する手段を一時的に失います。次の管理を徹底してください。
- 採用時に在留カードの表裏の写しを取得し、番号・有効期限・就労制限の有無を台帳化する
- 従業員から紛失の報告を受けたら、再交付申請の予定日を確認し記録に残す
- 新しいカードが交付されたら、番号が変わっているため写しを取り直す
- 出入国在留管理庁の失効情報照会サイトで、提示されたカードが有効かを確認する
再交付されたカードは番号が新しくなります。古い番号のまま社内記録を放置すると、後日の確認作業で混乱が生じます。(外国人雇用状況届出などの届出書類に古い番号を書いてしまい、訂正の手間が発生したという例は珍しくありません)
在留カードの偽造品が出回っており、券面だけでは真贋の判別が難しくなっています。企業が就労資格を確認する際は、失効情報照会や、ICチップを読み取るアプリでの確認を併用してください。
最後に
在留カードを紛失・盗難したときの対応は、警察で受理番号を取得し、写真と申請書を揃えて、気づいた日から14日以内に地方出入国在留管理官署へ再交付を申請する、という流れに集約されます。紛失・盗難・滅失と、著しい毀損・汚損による再交付はいずれも手数料が無料で、原則として即日新しいカードが交付されます。期限を過ぎると罰則の対象となり、将来の在留期間更新や永住申請にも影響し得るため、後回しにせず速やかに動くことが何より重要です。
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